鉄道車両の機構

2015年4月 2日 (木)

一冊の本 鉄道に関わる論文

一冊の本、今回は趣味の範囲を超えた技術論文の世界です。

元々、私のように浅学菲才で愚鈍な輩にとって、学問に通じる論文という物は、ほとんど縁のない存在なのですが、
私のような者に紹介してくださる方が居られまして、大阪市立大学教授の坂上茂樹氏とお付き合いをさせていただく光栄に浴する関係となりました。

氏の多くの著書や論文には鉄道に関係するものも少なくなく、技術を専門的に研究される方や該当する事例について探求したい方の欲求に十分に応えられるものと思います。

まず、市販の刊行物から。
絶版の物もあるようですが、入手可能なもの。

ある鉄道事故の構図-昭和15年安治川口事故の教訓は生かされたか
    2005年刊行、西成線安治川口駅でキハ42000が転轍機途中転換で
    脱線横転横転した事故についての考察とその後の対策の検証。

鉄道車輌工業と自動車工業 (近代日本の社会と交通)
    2005年刊行

舶用蒸気タービン百年の航跡
    2002年刊行、日本と世界の蒸気タービンについて
    非常に詳しく研究しています。

次は、大阪市立大学の論文です。
以下は、大阪市立大学学術機関リポジトリで、「坂上 茂樹」で検索するとリストアップされます。各論文を選んで「本文(PDF)」横のアイコンで「対象をファイルに保存」でダウンロードできます。

この中から、鉄道に関するものと、航空機等の内燃機関に関する論文は以下のようなものがあります。
1、C53型蒸気機関車試論〔訂正版〕
      私が最初に坂上教授の論文に接した物です。
      名機と呼ばれるC53について、
      その実態を技術面から徹底的に研究した論文、
      海外の3気筒機関車との比較や構造、動作面からの細かい検証
      目から鱗が落ちますよ。

2、鉄道車輌用ころがり軸受と台車の戦前・戦後史
       鉄道車両用ころがり軸受の黎明期から戦後の発展期までの、
       産業、構造等の発展を追って非常に詳しく掘り下げた労作です。

3、国鉄湘南型電車の台車ならびに車軸軸受について
       2項の続編ともいえるもので、80系電車の各台車の構造説明と
       軸受周りの検証。

4、途中転轍事故とデテクタバー : 線路の側から見た安治川口事故の要因に関する一試論
      上記刊行物の安治川事故の線路側から見た原因究明。

直接鉄道に関わるものはこれくらいでしょうか、他にエンジン関係等多くの論文がありますので列挙します。(順不同)
1、三菱航空発動機技術史 : ルノーから三連星まで
2、三菱内燃機・三菱航空機のV及びW型ガソリン航空発動機
3、日本内燃機 “くろがね” 軍用車両史
4、陸軍車両用池貝渦流室式高速ディーゼル機関について
5、Rolls Royce 初代 Eagle 航空発動機について : その戦後改良に見
  る動力技術進歩の内部構造
6、スミスモーター再論 : わが国におけるモータリゼーションの忘れら
  れた原点を顧て
7、戦前・戦時期の国産中・大型自動車用機関について
8、三井鉱山 三池ならびに田川瓦斯発電所について   

大阪市立大学学術機関リポジトリには、他にも多くの論文があります。  

坂上茂樹教授関係の論文の紹介は以上ですが、

鉄道研究に興味がある方は、青木栄一氏、堤一郎氏等の論文ぜひお勧めします。
ダウンロードできるものがありますので、検索してみてください。

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2014年7月13日 (日)

一枚の図面から 26-11 機関車のバネ装置 11

いよいよ暑くなってきて、夏バテでヘロヘロですが・・・

ふと気が付くと、アクセス数が10万件を超えていました。
はっきり言って、こういうジャンルでこれほどのアクセスがあるとは考えておりませんでした。これからも興味深い物をお送りできるよう努力してまいります。

今回はいよいよ機関車のばね装置の最後です。

今回も模型の場合の例を書いてみようと思います。
先ず、4-6-0のテンホイラーの例、これはもちろん4-6-2パシフィックや4-6-4ハドソン等の物と共通です。
前回同様、2Dから。
460
前回の4-4-0に1軸増えた物ですが、イコライザーは2段式になって複雑ですね。
3軸の中央に第1のイコライザーを置き、第2のイコライザーは2:1のポイントを支点にして、各軸がそれぞれイコライズしながら結果的に第1のイコライザの支点を中心に回転すると言う物です。
3Dのすると。
460_3d1
460_3d2
第1のイコライザーの支点は上の方になっていますが、工夫して、外から見えないような形にしてくださいね。

次は、私の流儀の、バネを使った例、こちらは比較のため3Dから。
460_3d1_2
460_3d2_2
第1のイコライザーは基本的に同じで、第2のイコライザーを固めの線バネにしたものです。
軸箱をベアリングにすると、こんなにシンプルな形にできます、材質はステンレスバネ線か、ピアノ線がお勧めです、曲げにくいからと言って、焼きなましなどしたらダメですよ。
2Dです。
460_2


さて、模型編の最後はマレー型です。

これは今までのやり方の組み合わせと、実物の知識で、強力で安定した走りの物を作ることが出来ます。
2Dから。
Photo
後部は上記の2-6-0等と同じもの、前部台枠は、これだけで3点支持として独立し、
前部台枠は、中央でボイラからの荷重受けでバネなしで乗っています。前部台枠はこの荷重受けを中心に前後がピッチングできる構造で、もちろん回転中心は前部台枠と後部台枠の接続点ですが、ここでは上下方向は隙間を開けてフリーとします。
実物のBaldwinの方式ですね。

3Dです。
3d1
3d2
左が前部台枠で、中央部の黄色の物が荷重点です、上部はボイラーに固定され、台枠側は円弧の穴となっていて下から段付きネジで止めます。
前部台枠と後部台枠との結節点は下から眺めの段付きネジで止めますが、上下方向は隙間を開けておきます。

次は、これをバネにした物。左が前部台枠です。
3d1_2
3d2_2

これも今までの考え方の組み合わせですね。
2Dです。
Photo_2

ここまで来ると、全てはこれまで説明したイコライザーの組み合わせでどんな物にも対応できると思います。

これを熱心に読んでいただいて、メカの面白さに興味を持つ方が一人でも増える事を願います。

これで、機関車のばね装置は終わります。長い間のややこしいお話にお付き合いくださり、ありがとうございました。

次回は、白馬からの避暑のレポートの予定でしたが、このところの体調不良で、今年は行けそうにありませんので、通常運転に戻ろうと思います。

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2014年7月 9日 (水)

一枚の図面から 26-10 機関車のバネ装置 10

今回からは、少しだけですが、鉄道模型でイコライザーを作る場合の例を紹介していこうと思います。

鉄道模型でのイコライザーの必要性があるのかないのか、諸説ありますが、実物とは違って軸重に制限がないので、なくても良いとも言えるのですが、線路から電気を取るので集電性能の向上、多少の粘着性の改善、重心の移動、脱線の防止、ジョイント音、それに工作の簡易化と、多くの効果があり、私は基本的に必須ですが、固定軸が良いと考えられる人たちも居られます。

まぁ、興味のない人は置いておいて、興味のある方だけご覧いただければと思います。

模型の軸可動の方法には各種あり、昔から製品に採用されていたものは、四角の軸箱の上部にコイルばねを置いたもので、非常に簡単に可動化できるのに対して、軸重の不均等やバネの強さの調節が難しい問題があります、反面、構造が非常に簡単なので、現在でも多くの製品に採用されているし、自作の作品にも採用される方々が多く居られます。

この方式は、軸箱の上下の可動範囲の中央に軸箱を置くと言うようなことは非常に難しく、一般的には強めのバネで、動輪押さえ板に押し付けて、強い力が掛かったときのみバネがたわむようになっています、製品では動輪が3軸の物も4軸の物も重いもの、軽いもの、全て同じばねを使っているので、動輪4軸で軽い機関車などはほとんどバネがたわまないので、コイルばねは弱いものに変えるべきです。
しかし、軸箱の上下の可動範囲の中央に軸箱を置く程度の強さに調整した場合は、機関車がふらふらと安定せず、良い音は出るものの揺れの多い機関車になります、やはり少し強めにするのが良いのでしょうか。

近年になって、イコライザー風の線バネや、板のイコライザー、実物無視の怪しげな3点支持等、多少なりともイコライザーを考えた製品が出てきましたが、イコライザーは付いているものの、4点支持になっていたり、3軸の中央だけ異常に軸重が重くなったり、ちぐはぐな物もいまだに見受けられます。

また、最近は、実物ではメンテナンス等の問題でほとんど採用されていない「ロンピックイコライザー」と称する支点を4点持つものや、「ふかひれ」と称するねじれ方向に作用するイコライザーが自作等の模型の世界で流行しています。

それらに関しては、私はそれほど興味が無く、作ったこともないので、模型雑誌やインターネットによって情報を得て頂きたいと思います。
ここでは、実物の鉄道車両で採用されている3点支持に限定して考えていきたいと思います。

市販のキット等を見ると、意外におかしなことをしている例が多いのが4-4-0の軸配置の機関車です。
動輪の可動を嫌ったのか、先台車は全く荷重を掛けず単に遊んでいるだけで、後方の動輪は軸箱非可動として、そのあたりに小さいウェイトを乗せているだけ、
あるいは先台車はコイルばねで受けて、動輪もコイルばねと言う製品等、どれも牽引力は無く、先台車の脱線は茶飯事と言うような状態。
なぜ最も簡単なのに3点支持としないのか不思議でなりません。

4-4-0の最も簡単な3点支持。
440_2d_2
例によって形状等は一例で、考え方と言う程度としてご覧ください。
 先台車は特に可動しなくても良いと思います、中心ピンの所で、バネを付けず(緩衝のゴムや板バネ程度なら可)先台車は台枠に対して自由に動きますが上下動はしません。
 そして後部の2軸の動輪は中央にイコライザーのピンを付けて板から作ったイコライザーを付ければ終わりです。簡単でしょ?
これで走行安定性能は格段にアップします。
この構造は横から見るとちょうどボギーの客車等の動きと同じで先台車も動輪も回転中心で自由に上下に回転運動が出来て線路の起伏に対応することが出来ます。

また、動輪にイコライザーを付ける事によって、動輪の荷重点が第1第2動輪間となるため、ウェイトを少し前に置いても動輪に利くと言う事です、また、私は4-4-0の場合は必ずやるのですが、炭水車の重量を連結棒を介して機関車に転嫁させますが、その場合も動輪の荷重点が前方なので効果が上がります。

3D図です。
440_3d_2
上側が一般的な2Dの物です。
台枠にタップを立てて内側から段付きネジでイコライザーを取り付けます。

 下方の図は、私が良くやる方法で、線バネを使った簡便な方法です。
このタイプのみそは、線バネを普通思うよりかなり強いものにすると言う事です。
通常機関車のみの重量ではほとんどたわまない状態で、軸箱可動範囲の中央で安定する状態にします、この線バネはイコライザーの働きとして作用するわけです。ですが固いと言ってもバネですので、わずかにたわみ、実物のイコライザーと重ね板バネの様な感じになって、ジョイント音が劇的にソフトになり、軽やかな走行音になります。

この線バネの硬さを決めるのは場所が許せば太くすれば問題ないのですが、私は主に材質で硬さを調整します。
よく使う材料は、柔らかい順に、燐青銅>ステンレスバネ線>ピアノ線、私はこれらの材料から選択して、微妙な硬さを直径の選択で調整します。

軸箱は、私は通常ボールベアリングを使います。内径3mm以下のベアリングは種類も豊富でいろんな箇所に使えて精度も高く価格も手ごろで非常に便利です、外径が丸いので、線バネの場合も軸箱上での折り曲げも不要です。

次はCタンクや1Bの場合。
1255_2d_2
左側は、先台車の分が1軸になったという考え方で、後方の2軸は4-4-0と全く同じです。

先方の1軸は台枠間に板を渡し、中央にM2程度のタップを立てます。左右の軸箱に乗る形で横にずれない構造の左右渡りのイコライザーを作り、中心の上から先を丸めたネジで押さえます、このネジの先端の高さで機関車の水平を調節することが出来ます、このネジは自由に回ってはいけないので、ダブルナット等で固定します。
この構造で前の1軸は中央で左右が上下する構造になるので3点支持が成立します。

もちろん前後は関係ないので、1点側は後方でも問題ありません、木曽森林鉄道のB-1タンク等(実物)はこの構造で左右に回転するようになっていますね。

3Dです。
1255_3d1_2

例によって、下側はバネ構造にしたものです。1点側は板バネとしましたが、他にもいくらでも方法がありますね。

下から見た物
1255_3d2
今回はここまでです、次回も模型編ですが、そろそろ終わりかな?

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2014年7月 5日 (土)

一枚の図面から 26-9 機関車のバネ装置 9

実物のばね装置、今回が最終です。

一見複雑に見える、関節式機関車、いわゆるマレー式(日本の場合)のばね装置を紹介します。

先ず、アメリカ製の9800、1911年ボールドウィン製の場合です。
98001
 後部の、ボイラーに固定されている台枠部は左右各1点、後部の3軸は第5動輪部に仮想の回転軸があります。
ですから、前の台車が無ければ後部の動輪が線路に密着したままボイラー前部は上下に自由に動けると言う事です。
と言う事は、前位台車が1点であれば普通の3点支持になります。
 前位台車を見てください、第1動輪前方に左右の渡りイコライザーが有るので、台枠は動かなくてもちゃんと1点になっています。

 模型で考えると、後部台枠は固定でも、前の台車はぐらぐら動くイメージですが、考えてみてください、蒸気機関車はシリンダへ高圧の蒸気のやり取りが必要です。
後部のシリンダーが高圧で、前部のシリンダーは低圧ですが、それでも蒸気が漏れると全く性能が出ません。
 ここで、その前部台車がグラグラならこの蒸気の経路の継手が上下左右に動いて非常に難しい構造になるだろうと思うのですが、これは間違いです。
 前部台枠は、実は上下方向には全く動きが無く、左右に回転するだけなんです。
と言う事は、蒸気管の継手は単に回転するだけなので、非常に構造が簡単で漏れも少ない構造です。
 前部台枠の中央部にボイラーからの荷重を伝える部分がありますが、上下しないのでここにはバネ類は全くなく、横にスライドするだけです。

 要するに、長い台枠で、通常の3点支持(D51等のタイプ)で、台枠の中央部が左右にのみ曲がる構造になっていると言う事です。

この機関車のイコライザーは部品図があります。
98002
 右下にイコライザー機構の略図がありますね、一般的なアメリカの機関車のイコライザーの構造を考える面でも有用ですね。

 マレー式のイコライザー、もう一つの例として、ドイツヘンシェル製の9850の例です。
この機関車は大宮の鉄道博物館に保存されているので、ぜひご覧いただきたいと思います。
98501
 この機関車は後部台枠は9800と同様、左右の2点ですが、前部台枠も左右2点で、左右渡りイコライザーがありません。
と言う事は、9800と同じように考えると4点支持となります。

本当にそうでしょうか?

 鉄道史料107号に、この機関車の明細図が掲載されているのですが、鉄道史料が図面を抜粋して掲載した場合、大抵は必要な図面が掲載されませんね、どういう事でしょう?
 C53の明細図に、最も重要な大テコの図面が抜けてたり・・・抜粋せずに全部掲載したら良いのにといつも思います。
まぁ余談はさておき、鉄道史料には載っていない図面です。
34_henschel_cch4v_9850_019l
 これは、前部の低圧シリンダーからの排気管で、左上が煙室で、そのまま煙突につながっています。
 普通に考えれば、左上と右下が回転できるようになっているものですが、面白いことに、右下のエルボ(肘継手)はシリンダに固定されていて回転しません。
このエルボの左の部分に可動部があります、その部分は球面になっていて、上下左右に動きます、また、その左に2重になっているところはリングが入っており、伸縮するようになっています、その左、上向きのエルボの上部は煙室下部にバネがあり、その下は球面になっています。
 要するにこの部分の管は上下左右に動けて、伸縮も出来ると言う事です。

もう1枚
34_henschel_cch4v_9850_022023l
 この図面は鉄道史料に有ります。後部の高圧シリンダーからの排気を前部の低圧シリンダーへ送る管です。
上の図が側面、下の図が平面です。
 前後の二股のすぐ横が球面継手になっています、こちらの球面継手は高圧なのでバネで常に押さえつけるようになっていますね。
また、右の方に伸縮継手があります、こちらもバネで押さえていますね。圧力の違いで構造が違っているのは面白いですね。こちらの管も球面継手なので、上下左右に動くことが可能で、伸縮もすると言う事です。

さらにもう1枚、これも鉄道史料にはありません。
98502
 これはちょっとややこしいですが、前部台枠の後端、回転の中心ピンの所の詳細ですが、
後部台枠の前端下部から上に棒があり、前部台枠の上部につながっています、その上部はコイルばねで押さえています。
この棒の上下は自由に回転できるように球面になっています。
この棒は何の役目を果たすのでしょう?
 前部台枠が回転すると棒が延びる方向なので、バネが無いとすれば、中心ピンの部分が下がってしまいますが、そのようには見えないので、このバネが必要と言う事になります。
と言う事で、回転すればバネがたわむので、前部台枠の回転を抑制することになります。
この棒はもう一つ目的があり、前部台枠が左右にスイングすると、バネがたわむことになるので、左右のスイングの抑制をするようになっています。
これはとりもなおさず、左右にスイングできると言う事ですね。
 上記の、蒸気管の自在継手の存在もあり、この前部台枠は、回転と同時に左右にもスイングすると言う事ですね。

前部台枠がスイングすると言う事は、イコライザーが左右2点でも、中央の1点と言う事になり、上記の4点支持ではなく3点支持だという結論になります。

これは、9800とは大きく違う所で、ドイツの高い技術を感じます。
 この辺りを大宮の鉄道博物館で見た時の写真で確認しようと思いましたが、カバーや骨組みで、最も見たい回転中心が隠れています。何を展示したいんだか・・・・トホホとなりますね。

4500も調べようと思いましたが、残念ながら私が持っている資料では構造が分かりませんでした。

MI社の製品はイコライザーが付いていますが、前部も後部も3点支持になっています、後部台枠だけは絶対に左右2点にしなければ、前部台枠の上下に対応できませんね。
キットを作られる方は改造することをお勧めします。

実物編は以上です。

次回は模型のイコライザーの例を挙げようかと思いますが、図を書かなければいけないので、いつになりますやら・・・・・

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2014年7月 2日 (水)

一枚の図面から 26-8 機関車のバネ装置 8

今回は、日本でのイコライザー使用の最終期の標準的なタイプ、国鉄の制式機を紹介します。

先ず、旅客用の例として、C59を紹介します。
基本的に国鉄制式の2軸先台車を持った蒸気機関車は同じです。

C591l
C62等、2軸従台車を持った機関車も全く同じで、右端にもう1軸延びるだけです。

先台車
C592l

細かい構造に違いはあっても基本的な構造は全部同じです。
台車枠は剛構造で、中央にスイングする構造の重ね板バネがあり、板バネの端部でイコライザーを吊っています。板バネの中央がイコライザーの回転中心となります。
台車枠は中央の心皿で車体の荷重を受けます、一般のボギー台車の様な側受けは無いので回転と同時に左右にスイングします。この動きで、3点支持のうちの1点を担います。
前後のピッチングはイコライザーがあるため、台車枠は基本的に上下しないので、主台枠とのクリアランスは驚くほどわずかです。
この図ではエコノミー式復元装置が分かりますね。

従台車です。
C593l
これだけ?と思われる方も居られるかも知れませんね。
一番上の図の重ね板バネは、主台枠に付いているので、従台車のように回転したりしません。
従台車はその重ね板バネの下部でスライドして荷重が掛かるようになっています。
左端の穴が従台車の回転中心で、右側は左右の復元バネです。
この復元バネは、先台車に比べると非常に簡単な構造で、中央部の四角い箱が台枠に付いていて、単にコイルばねで左右から押さえてあるだけです。
軸箱上部は板バネから荷重が掛かりますが、ここはスライドするため、油を溜めた箱でスライド部を覆っています。

2軸先台車が付いた機関車は通常この構造で、基本は4-4-0で、後ろの車輪群が増えてもイコライザーが続くだけで動きとしては変わりません。

これまでは蒸気機関車に限って説明してきましたが、電気機関車もこの構造は同じです。

2軸先台車が付いた機関車の代表例EF58です。
Ef581l
所謂旧型電気機関車はイコライザーがむき出しなので構造が分かりやすいですね。
先のC59から従台車を除いただけで、同じですね、先台車も外側軸受けになっただけで基本構造は共通です。
台車の中心ピン(心皿)が第1、第2動輪間にありますが、ここでは先台車への荷重が少ないので、中心ピンの前方に荷重分配装置が付いています。
先台車枠後端と主台枠の端部が非常に近いですが、イコライザーをちゃんと作ればこの程度のクリアランスで接触することはないと言う事です。
市販の製品は、ここをものすごく広げてしまって実感的ではありませんし、それに伴って車体長まで延ばすという事をやっています、イコライザー可動にされた場合は、ここを詰めてみましょう、3点支持になっていれば、ほんのわずかな隙間でも意外に当たらないものです。

次は。1軸先台車の例、D51です。
51

ばね装置は、先輪から第2動輪まで、第3動輪から従輪までの左右で構成されています。
先輪の中央で左右に渡るイコライザーになっているので、先輪から第2動輪までは第1動輪中央付近が1点の荷重点になります。
先台車へ行くイコライザーの中心ピンは3か所に変えることが出来ますので、動輪軸重を変更することが可能になっています、実際に移動させるには穴の仕上げなどの加工が必要ですが。

EF58を出したので、対するEF15を紹介します。
Ef151l
EF58と似ていて、同じ主台車枠を使った模型の製品も見ますが、EF58とEF15の台車枠は全く異なります。
EF15は先輪と第1動輪がイコライザーでつながり、第2、第3動輪が左右の単純なイコライザーでつながります。
先輪の上部は左右に渡るイコライザーを構成しているので、先輪と第1動輪で1点となります。
先輪と動輪を結ぶイコライザーがいびつな形で、なかなか構造が分かりませんでしたが、図面で見るとよくわかりますね。
EF15の心皿は荷重点として問題ないので、荷重分配装置は付いていません。

次回でバネ装置の実物編は終わりです。












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2014年6月30日 (月)

一枚の図面から 26-7 機関車のバネ装置 7

これまでで、大体の構造を説明できたと思いますので、これからは、各種機関車のイコライザーの紹介をしていきましょう。

最初は、最も簡単な3点支持、Bタンクです。
13l
この機関車は浜松軽便鉄道の1-3号、後の遠州鉄道奥山線ですね、1913年、オーレンシュタイン・コッペル製の20HPクラスの機関車です。
第1動輪は左右独立、第2動輪は重ね板バネを左右に渡し、バネの中央でスイングしてイコライザーを兼ねた物となっています。

次は8550、九州鉄道を代表する機関車ですね。
8550
アメリカ製では珍しくない構造ですね。もっとも重い火室部分を動輪2軸で負担していますね。コイルばねを使って微細振動にも対処した、丁寧に作られた機関車のように思います。

次からは有名どころになってきます。
9600です。
9600
最早説明の必要もないくらいオーソドックスな構造ですね、先輪と第1動輪で1点、第2から第4までをつないで左右2点としています。第3第4動輪が下バネなのは火室との干渉を避けたためです。
先台車へ行くイコライザーは、シリンダ下の中心ピンの位置が3か所に移動できるようになっていて、軸重を調整できるようになっています。

次は6700です。
6700

全国の私鉄を国有化した後の最初の標準設計の機関車です。
この機関車の動輪のイコライザーは非常に変わっています。
通常の板状のものではなくて、軸バネの上下の動きを、ベルクランクで前後の動きに転換して、棒によって次の軸へ動きを伝えるというもので、通常のイコライザーより軽く出来ます、特に軸距離が長い場合はメリットが顕著ですが、蒸気機関車ではあまり採用されません、やはりピンが多いのでメンテナンスの問題でしょうか。
とはいえ、近年のボギーのディーゼル機関車に採用されているものがあります。

このベルクランク方式、動輪のイコライザーで使われる例はまれですが、非常に有名な先台車に採用されています、それがこれ!
86201

8620の島式と呼ばれる1軸心向台車ですが、これの動輪からのイコライザーが、このベルクランク式なんです。
この台車は中間部に左右の復元バネを持ちます、第2第3動輪が固定なので、先台車と第1動輪は一体化して同じ方向に回転して、中間部の復元バネに力が掛かります。
よく、この復元バネ部を中心に、先輪と第1動輪が逆の方向に回転すると考える人が居られますが、それはあり得ません。
この台車の場合、先輪と第1動輪があたかも4-4-0の2軸先台車のように挙動するのがミソですね。ですから曲線通過性能は非常に良いのもうなずけます。

シリンダとこの台車の狭い空間を使ってイコライザーを通すのに、ベルクランク方式はスペースを取らないので最適と言えますね。

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2014年6月26日 (木)

一枚の図面から 26-6 機関車のバネ装置 6

今回は軸配置1-C-1、動輪は3軸ですが、これまでの要素が全部入っていてかなり難解ですが、これまでの記事をまじめに読んでいただいてたら、これまでに出てきた構造の組み合わせなので、もう難しくはないと思いますよ。

今回例に引っ張り出すのは、スケネクタディの3100、軸重が重すぎて、サイドタンクやリヤタンクを無様なまでに切り取ってしまって、原形とは全然違う外観になってしまいました。
組立図なので当然原形です。
3100
これまでと向きが違いますが、先輪と第1動輪をつないで1点とし、第2、第3動輪と従輪は片側で一つながりで、左右に1点で3点支持となります。

例によって3D画像です。方向は組立図と逆で、左が先輪です。
31001
31002
書くのが大変なので、先輪、従輪は簡略したものとしました。
実際は、イコライザーの下にビッセル台車の先端が来て、その下にリンク式の復元装置があって、さらにコイルバネを介して軸箱へとつながります。
この辺りの構造もいずれ書きましょうか。

前方のイコライザーは左右の渡りイコライザーの上下の動きを前方へ伝達します。
左右の渡りイコライザーがあるので、第1動輪と先輪で1点を構成します。
後部は左右の2点ですが、火室の所は上バネに出来ないので、バネとイコライザーが連続する特異な構造ですが、アメリカ製ではかなり一般的な構造です。
従輪はイコライザーは左右に分かれていますが、そこから下の構造は先台車と同様です。

2D図です。
3100_2d

下2段の模式図は、一番上の支点が中央になっていないところがミソで、支点をずらす事により、各車輪の軸重配分を変えることが出来ます。
具体的には、先輪、従輪へ行く最後のイコライザーの支点をずらします。
この支点は何点か穴を開けて、ピンをずれる穴を変える事によって、先従輪の軸重を幾通りかに変えることが出来ます。
この3100も組立図をよく見ると先輪のイコライザーの中心ピンの穴は3か所開けられていて、ずらせるようになっています、これは9600等も同様ですよ。
有名な例では、C62を東海道や山陽本線から、北海道等に転属させる時に「軽量化工事」と称する工事を施工しましたが、
これは、従台車と動輪を結ぶイコライザーのピンの位置を後方にずらして、従輪の軸重を増やして、動輪の軸重を減らしたものです、イコライザーで均等化されるので、一部の支点を変えるだけで、全体の軸重を変えることが出来るわけです。

1-C-1の例をもう一つ、次はイギリス製の3200です。
B6に先輪を追加したようなものと思っていましたが、下周りはかなり違い、
イギリス製には珍しく、イコライザーが付いた3点支持となっています。
3200l
3100に比べて、前の1点は先輪から第2動輪までをイコライザーでつないでいます。
これは前の1群の重心は第1動輪前後になり、3100のように、先輪と第1動輪の間に重心が有る物より、機関車全体の重心がかなり後方になると言う事です。
また、先台車のイコライザーと従台車のイコライザーの中心を比べてみると、従台車の中心ピンがイコライザーの中心近くにあるのに比べ、先台車の中心ピンは相当動輪側にずれています。
これは、先台車の軸重はかなり軽く、従輪の軸重は第3動輪とさほど変わらないと言う事です。
これは、先ほどの機関車全体の重心が後方に偏っている証ですね。
第2、第3動輪を後方にずらせば良いのですが、固定軸距離が相当長いので、これ以上伸びるのを嫌ったのかも知れませんね。

それにしても・・・・3100と3200を比べて、3100だけが重軸重だったと言うのは前々から疑問に思っています。
スケネクタディの設計者が軸重計算と言う重要なものを間違えるとも思えないし・・・大畑で長期間活躍したというのも18tもの軸重が有ったとはちょっと思えないんですが・・・
問題が発覚したのは、1913年に実際に実測したからとの事ですが、金田さんもこの実測は怪しいと書かれていますが、私も眉唾ではないかと思っています。

実際18t超の最大軸重は第2動輪だったそうで、改造後は14.1tになったとの事なんですが、組立図のイコライザーを見てください。
改造工事は側水タンクの前方を短くしてさらに前方を大きく斜めにカットしています、これは前方の重量を3.64t減少させています。
また、後部石炭庫の高さを減じて、2.57t減らしています。
イコライザーは先輪と第1動輪のみ、第2動輪から後ろは一体のイコライザーになっています。と言う事は、前方1点の支点はシリンダの後部辺り、後部左右の2点の支点は第3動輪あたりと言う事になります。
改造で減少させたのは水タンクは前方のみ、前の1点は大幅に減少したと思われますが、  問題の第2動輪にはほとんど影響がありません。
これはおかしいですね。

ここからは資料がないので私の単なる想像なんですが、このような改造で、第2動輪の軸重を減らすには、このままのイコライザーでは到底無理で、私は下図のように改造したとしか考えられないんです。
31002l

このように、第1第2動輪間にイコライザーを追加して、第2第3動輪間のイコライザーを切断して上下のばね釣りをそれぞれ台枠と接続して、ここのイコライザーは縁を切ります。
前方のイコライザーを第2動輪まで延ばせば前方1点が第1動輪後方に来るので、改造した個所の重量軽減が第2動輪に及びます。

こういう想像をするのは、鉄道研究においても結構有用で、何らかの矛盾を見つけてそれを検証するのも面白いことです。
このような考え方で新たな発見も見つかったりしますので、研究は非常に楽しいですよ。


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2014年6月23日 (月)

一枚の図面から 26-5 機関車のバネ装置 5

イコライザーの基本的な考え方は理解いただけたでしょうか。
ダメ押しでもう一枚。
5l
3点支持は、基本的に、側面だけで終わる物2点と、左右の渡しが有る物が1点で構成されます。

これを踏まえて、実例に戻ります。

今回は4-4-0の場合。
4-4-0(2B)は最も簡単に3点支持に出来るのですが、メーカー製の模型で3点支持になっているものは意外に少ないように思います。

まず、基本的な6200の例
6200
これは、先台車の中心で1点、動輪間に左右にシンプルなイコライザーを付けてこれで綺麗な3点支持になります。
イギリス製はイコライザーを使わない機関車が多いですが、高速用に作られたこの軸配置の機関車はほとんどにイコライザーが付いていて、イギリス製はこのタイプが一般的です。
この形は、ボギー台車の車両を例にすると、前はそのまま、後ろは回転しないボギーと言えるので、ボギー台車のように線路に追随出来ると考えると理解しやすいように思います。

3Dです。
6200l
実物資料なしで、頭の中のイメージで作ったモデルですので寸法はでたらめですが、先台車も含め、イコライザーの考え方は合っています。

2D図です。
6200_2dl
これがアメリカ製になると、大分イメージが変わりますよ。
ブルックス製の5160
5160
火室が台枠上に張り出してくるので、下バネにする必要がありますが、
軸箱を下から引っ張るのを嫌って、馬蹄を半分にしたような板を軸箱に上から引っ掛ける形になっています。一見異様ですが、他の構造同様、ジャッキアップすると一気にばらばらになるためメンテナンスは非常に楽です。なお、この板は台枠を挟んで左右に有るので意外に枚数が多くて、各軸で8枚づつ付きます。
先台車は見た目は違いますが、6200と同様の構造です。

同じアメリカ製でもスケネクタディの5700ではこのようになっています。
5700
これも下バネですが、軸箱上部をイコライザーにして、中間を重ね板バネにした例です。
前後端のコイルばねは微小振動の吸収用です。5160と同様、イコライザーは薄板で、台枠の左右に付きます。
バネが薄く、コイルバネ付きで、乗り心地が良さそうですね。

次回は少し複雑になります。











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2014年6月20日 (金)

一枚の図面から 26-4 機関車のバネ装置 4

実物の例を数点紹介しましたが、ここで、イコライザーの知識と考え方の説明をしようと思います。

イコライザーの最も基本的なものはこのようなものです。
1l
  上段の「模式図」に書いたように、軸箱をビームで結び、その中央(変える場合もある)で、回転できる構造になっていて、そこに荷重が掛かります。
このようにすると中央1点の荷重が前後に均等に分配することが出来、さらに軸箱の上下の動きも可能となります。
  実際にはこれにバネが入るので、2段目以降のような構造になることが多いです。
これは、バネ装置の前後端は台枠にピンで受けて、重ね板バネとイコライザーによって、模式図のような動きを比較的小さい部品で構成しています。
  図ではちょっと分かりにくいですが、軸箱の上の弓形の物が重ね板バネで、このバネ自体がイコライザーの役目も果たします。
 
  重ね板バネは非常に大きなファクターで、その特性は、板バネを重ねることにより、板同士に摩擦が発生し、ある程度の荷重までは固まりの状態で一体化し、摩擦限度を超えればバネとして作用し、その摩擦力によって減衰効果もあるという、非常に優れたバネです。
この減衰効果はコイルバネや空気バネには無いので、重ね板バネを使わなくなった現代の鉄道車両では、通常のバネに加えてオイルダンパなどの減衰装置を併用していますね。
  なぜ近年はこのすぐれた重ね板バネを使わなくなったかというと、まさに、ある程度までの荷重ではバネの効果がないという事で、細かい振動や衝撃吸収には効果がない点です、要するに乗り心地を一定以上にはできないという事です、ですから重ね板バネを使った台車では細かい振動吸収にコイルばねを併用することがよくあります。
 
イコライザーを使ったバネ装置には絶対的に使われていて、板バネ自体がイコライザー装置の一端を担い、バネにもなるという2役をこなしているわけです。
  図では、重ね板バネはバネの撓みは無い状態ですが、この状態でも十分にイコライザーとしての役目を果たします。
  実際には、模式図のビームをそのまま重ね板バネにした簡便な物も存在しますが、軸距離が大きくなると板バネのスパンが長大になるので、短い軸距離に限られます、その構造は現代の大型トラック等にも使われています。
 
ここで、注意していただきたいのですが、図の下の2段は、イコライザーが動いて線路と台枠が平行でない状態を表しています、まさに走行状態の車輪の動きなんですが、
この図では、当然ながら、イコライザーの中央でシーソーのような状態で、台枠の前後は全く安定しない状態です。この構造のイコライザーを2軸の車両の左右の車輪のところに設置した場合、車両の前後は上がったり下がったりすることになり、使い物になりません。
  ですから、通常はこれに加えてもう1軸、上下方向を規定させる車輪が必要になります。
それは前回説明した1255に相当するわけで、この構造のイコライザーを第2第3軸の左右、そして第1軸の中央で左右方向にスイングするイコライザーを付けて安定させたもので、第1軸中央で1点、第2、第3軸中央の左右で2点の計3点で支持して、一般に3点支持と呼ばれます。
この3点支持の別のタイプを示します。
4l
上の模式図は、車両を上から見たもの、下段の図面も上から見たものを展開したもので、左の図は前から見たもので右側が上方向です。
1255との違いは前方の1点を1軸だけではなく、第1、第2軸をイコライザーで結んで、荷重点を1点にしながら自由な動きを与えているという事です。
第1、第2軸が1点なので、第3軸は左右を各1点の独立懸架で良く、自由度が大きい構造です。
下の2枚の図で、各軸が単独で動いてもイコライザーの動きでうまく均等化されるのが理解できるかと思います。
 
  このタイプのイコライザーは重要で、第1、第2軸の構造を後ろに伸ばして3軸、4軸にすることも可能ですし、第3軸の部分を上記の左右のイコライザーにして、車輪を増やすことも可能です。
  実はこの構造は、近代機や電気機関車に至るまで、1軸先台車や先台車なしの機関車に非常に多く採用されていて、左右に渡る部分が先輪になったりします、有名なD51もこの構造です。
  2軸の場合のイコライザーは、中央の1点でイコライザーが回転するのがわかりますが、3軸やそれ以上になった場合はどうなるのでしょうか?
実は全く同じ構造なんです。
2l
  今度は模式図ではなく「水平」を見てください。2軸の場合と全く同じでしょう?
軸が増えただけ連動を増やすだけですから、いくらでも増やすことが出来ます。
  3軸になった場合の模式図はちょっと複雑で、第1、第2軸間のイコライザーと、第2、第3軸間のイコライザーがそれぞれ独立していて、それらのイコライザーを結ぶイコライザーが全部の荷重を担って、回転もそのイコライザーの中心で行うというものです。
軸が増えるとこの構造がどんどん上に上がりますが、実際の構造の方が単純ですね。
 
  ここで注意したいのは、下部のイコライザーの荷重は中央の軸に前後の荷重が合わさるので、荷重点は1:2の位置にする必要があるという事です。これをしないで前後を中央にしてしまうと中央軸のみ前後の軸の2倍の重量が掛かってしまいます。この例、客車用の3軸台車、TR71や74等で荷重を受けるバネの位置が1:2の位置になっていることで確認できますよ。
この例は軸距離が均等の場合ですが、均等でない場合も問題なしです。
3l
  軸距離が短いところはイコライザーも短くすれば良いだけですが、イコライザーの角度に限界があるので、軸距離にも限界があります。
  これら3軸の場合も、2軸の場合同様、台枠前後はシーソーのように自由に上下しますが、この構造に2軸先台車を付ければ先台車中心が1点となり、非常に安定した物が出来上がります。
  当然、そこら辺の製品のように、先台車にコイルばねなどを入れると飛び上がってしまいますよ。
2軸先台車を持ったC51、C57からC62に至るまで、2軸先台車を持った機関車は全てと言って良いくらいこの構造です。
上記の1軸先台車の例と2軸先台車の例、EF15とEF58が良い対象例です。後で個別に説明しようと思っています。
  私が作る模型は、基本的に全部イコライザーを付けますが、1/80のため実物通りの構造は板バネを受けるφ46の釣ボルトがS0.6のネジを使う必要があり、強度的に自信が無くて、模式図のような構造で作っていますが、昨今は1/80でもちゃんと作られる方が居られてうかうかしてられませんね。
 
多少オーバーとはいえ、K社のC51のように、この機構を再現して(動輪のみ)いるすばらしい製品も出てきたりして興味が尽きません。
  このC51が発売された当時の雑誌の紹介で、イコライザーの構造を理解していない人が記事を書いて、先台車に上下動を与えなければダメとか書いていて大笑いした覚えがあります、
その次の号でメーカーが対策と称した実験記事が出てましたが、メーカーの担当者は困ったでしょうねぇ・・・
それに懲りたのか、それ以降こういう素晴らしい製品が出なくなったように思うのは残念なことです。

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2014年6月17日 (火)

一枚の図面から 26-3 機関車のバネ装置 3

イギリス製は連動のない単独懸架の物が多いですが、その他の国々の機関車では連動するものが多いようです。

その代表例として、アメリカ製の機関車を見ていきましょう。
最初はもっとも単純な例、BaldwinのBサドルタンク、形式5です。後に従輪が付きましたが、もちろん原形の時です。
5
第1動輪は前方で左右渡りのイコライザーがあり、第2動輪は左右独立です。
左右渡りのイコライザー(青色)は台枠側ハリ下部を渡すビーム中央から上に伸びるリンクで引っ張られていて、左右の自由度が大きい構造になっています。
これにより、第1動輪は、車軸中心部を支点として左右にスイングすることが出来ます。
3Dの説明図です。後ろから見たもの
51
左が第1動輪です。
前から見たもの
52
紫色のビームが、台枠側ハリ下部を渡すビームです。
アメリカ製は穴に突っ込んでコッターで引っ掛けているだけの構造が多いのですが、各部のリンクの自由度は大きいです。
2Dです。
5_2d
第1動輪は中央の1点、第2動輪は左右の各1点の全部で3点、三角形になって安定化します。
次は、1255、元阪鶴の機関車で、1350と兄弟機関車です。
1255
5と同じ構造の第1動輪に第2第3動輪間のイコライザーが追加になった構造です。
後ろから見たもの
12551
前から
12552
第2第3動輪間のイコライザーは左右独立です。
1255_2d
第1動輪は中央1点、第2第3動輪はイコライザーの中心の左右各1点の計3点の3点支持です。各軸独立と違ってイコライザーを付けると荷重点をずらせるので設計が楽になりますね。
今回はここまで。

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