一枚の図面から

2018年9月28日 (金)

一枚の図面から 50-10 機関車編 9600 49602-69665

9600も製造開始から7年経った大正8年になり、台枠が変更になりました。

変更理由は機関車のブレーキが真空ブレーキから蒸気ブレーキに変わったことによるものと思われます。

大正8年といえば18900(後のC51)が出来た年で、今回の9600の変更は18900のブレーキシステムと同調したものと思われます。

では、そのブレーキシステムから見ていきます。
9600_209_207
今回からの蒸気ブレーキシリンダ
9600_227_225
  真空ブレーキの時は、台枠の両側に真空のブレーキシリンダが付き、ブレーキテコを引き上げて制動が掛かる構造でしたが、今回の変更でブレーキテコを押し下げて作用するタイプの蒸気ブレーキになりました。

  変更理由としては、大正12年から採用される空気ブレーキとの関わりがあります。
  空気ブレーキのブレーキシリンダは、日本では全てシリンダ後部から空気を入れてピストンを押し出すことによりブレーキが作用する形なので、真空ブレーキのピストンを引いて作用するのとは逆作用になります。

  将来の空気ブレーキへの改造に際しては、従来の真空ブレーキではブレーキ軸や軸受、ブレーキシリンダの取り付け方など大幅な改造になりますが、空気ブレーキと同様のピストンを押し出すタイプの蒸気ブレーキにすれば、ブレーキ軸受等の変更がなく、部品交換と台枠の比較的簡単な改造で済むようになります、今回の台枠の変更はこれに即したものになりました。

それでは、その台枠です。原版は横長なので、左右に分割しました。
9600_196_1942_2
9600_195_1941
ランニングボードは美しい直線で、上面は網目等がないフラットな板、さらに縁取りの補強等を取り付けるリベットは上面がフラットな皿リベット。

川崎造船が主体になって製造した機関車は、D50の途中までは網目板は使わず、美しいフラットなランニングボードだったんですよ、なお、汽車会社が主体となって設計した8620は川崎造船で作っても網目板を使っています。

主台枠の板は1インチ(25.4mm)です、9600の特徴的なフロントデッキに円弧状に出ている板は、この台枠が出ているのがこの図で分かりますね。

今回の変更では、台枠後部のブレーキ軸の軸受とブレーキシリンダ取付関係が大きく変わっています。

図面はあと一枚、管装置です。
9600_238_2351_stitch_50
管装置は組立図の代わりにもなりうるほどの情報量がありますね。
真空ブレーキタイプの最後の配管です。

最後に原形写真を少し。
76659664

81669614

84469642

この3枚の写真のナンバープレートは全部エッチングですねぇ、この頃の流行りなのでしょうか。

次回は国鉄最後のグループです。

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2018年9月12日 (水)

一枚の図面から 50-9 機関車編 9600 19683-29637,29653-49601

9600、次のグループは19683-29637,29653-49601です。
1918年の汽車会社製から始まりました。
29638-29652が飛んでますが、これらは同年小倉工場で作られたグループで、前グループの仕様で製造されました。
このグループからの変更点はわずかなんですが、運転室の窓が、二枚から一体の大きいものに変更されています。
 
運転室の図面です。
9600_121_p114_2
窓以外は変更が無いようで、後部妻板は傾斜していますね。
このグループの途中39613から自連への交換の準備が始まり、フックの取付部が変更されました。
9600_176_175_39613
フックの周りの幅368mm、高さ203mmの間隔の1-1/4”の4本の穴が自連の取付穴です。
これ以前の自連を考慮しない図がこれ。
9600_175_174
比べてみるのも面白いですね。
このグループの追加図面はこれだけで、次のグループから蒸気ブレーキに変わります。
汽車会社の公式写真です。
撮影した状態
75247_19686l
修正したもの
P8_19686l
 
もう1枚
36039614l
このシリーズはここまでです。
次のグループから、台枠が変わります。

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2018年9月 8日 (土)

一枚の図面から 50-8 機関車編 9600 9658-19682,29638-29652.

9658~19682,29638~29652のグループの続きです。
管装置
9600_236_234
制動装置

9600_208_206

手用制動装置
9600_207_205_2
一見制動装置と同じように見えますが、ブレーキテコが違うタイプとなっていますね。

灰箱
9600_033_031
汽笛座
9600_088_088
当初の火室左側面取付のもの

このグループの図面はこれだけです。
続いて写真を少し
小倉工場製29652
152965234

戦前のもの
3181962819370405

昭和24年
217968019491200_1
同じ機関車
217968019491200_2

このシリーズはここまでです。

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2018年5月26日 (土)

一枚の図面から 50-7 機関車編 9600 9658-19682,29638-29652.

  9600、今回からは本格的に大量に量産が始まったグループ9658~19682と少し飛んで29638~29652のグループを見ていきましょう。
製造は大正4年から7年で、15両の小倉工場を除き全部川崎造船製です。
 
先ずは組立図
9600_001
  一見前回のグループと似ていますが、外観上の大きな変更点、運転室をご覧ください、
後ろの妻板が平面で斜めになっているのがお判りでしょうか。
運転室は一旦最初のグループから大幅に縮小されましたが、すこし小さくしすぎたようで、今回のグループからは側板はそのままで後ろの妻板を斜めにして後部に広げた格好です。
  側板を延長しなかったのは、設計上の最急カーブで炭水車の側板前端との間隔に余裕がなかったせいで、機関車全長を切り詰めた影響が出ています。
後に空気ブレーキを装備した時にブレーキ弁のせいで狭くなって、運転室を後ろに延長しましたが、その時は機関車と炭水車の間の連結棒を延長して対処しました。
  番号が飛んでいる29638~29652は小倉工場製で、製造年はこのグループと同じです。
 
その運転室
9600_257_253_2
側窓は小窓が2つ、縁取りは直径38.1mmの半丸、屋根に断熱のための段差があります。
 
次はボイラ
9600_006_004
安全弁カバー等古い状態で書かれている部分もありますが、9688号以降の図です。
9658号から大煙管が21本から22本になり、過熱量が増大されました。
 
次は煙室
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9658号以降の図です。シリンダから排気のブラストノズルが改善されています。
 
蒸気ドーム
9600_016_014
図面は9698号以降です。
 
火室のクロスステー
9600_014_012
これのカバーが火室の横に出ていて目立ちますね。
 
久しぶりに再開したので、今回はこれ位にしておきます。

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2018年3月10日 (土)

一枚の図面から 50-6 機関車編 9600 9618-9657

9600の続き。

今回は、京都鉄道博物館に保存されている9633の写真を掲載します。

自分用として部分の記録の撮影なので、綺麗な写真はありませんのでご容赦ください。

いつもの状態
96330
時々外に出ますが、この時は近寄れない
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96334_2

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このアングルが好きです。
96336

ランニングボードは普通の鉄板で、補強のアングルは皿リベットなので上面はつるっとしています。
96337

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シリンダ後部
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クロスヘッド周り
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台枠後部
963311

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フロントデッキ、外側の板は、バルブスピンドルのメンテナンスのために、外れるようにボルト止め。真ん中の丸い物は先台車の復元装置のカバー
963313

963315

炭水車は通常タイプ、側板は後上部以外は新製でリベットはでたらめ。
963316

昔の写真は掲載できるものがないので、このタイプはここまでです。










































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2018年2月15日 (木)

一枚の図面から 50-5 機関車編 9600 9618-9657

今回も9618~9657を見ていきましょう。

今回は下周りの図面です。

台枠組立、現物は横長なので、2枚に分割します。
9600_170_1692
9600_169_1691
  この台枠は、真空ブレーキに対応したもので、9618~49601に使用しています。
9600~9617との違いは運転室の床のみと思いますが、図面が無いので不明です。
  台枠の板は1”(25.4mm)厚で、軸箱守は内側に強固にリベット止めされています。
後に、大陸へ送るための標準軌改造にあたり、軸箱守をひっくり返して対応できたのはたまたま寸法が合ったからだそうですね。
  前端バリは1”(25.4mm)、後端バリは5/8”(15.9mm)厚、板台枠の構造が良く分かりますね。
  ランニングボードの板厚は1/4”(6.35mm)9600は最後まで網目板は採用せず、普通の鋼板だったようです。
また、ランニングボード上面のリベットは皿リベットを使用して靴が引っ掛からないように考慮されていました。

バネ装置
9600_157_158
9618から、イコライザは先台車と第1動輪が結ばれて1点、第2~第4動輪までが左右で2点の3点支持となっています。
  9600~9617は先台車から第2動輪までと、第3、第4動輪の組み合わせでしたが、9618以降、重心を前にずらして、第3動輪の最大軸重を13.67tから13.41tに引き下げて、動輪軸中の均等化が図られています。
  第3、第4動輪が下バネなのは火室と灰箱のために上バネには出来なかったようです。

バルブギヤ
9600_129_1301_stitch_50
シリンダ
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9600はシリンダが横に張り出しているのが特徴ですね。

連結棒
9600_123_124
溝が無いので薄いですね、一番分厚い第2第3間の物で1-5/8”(41.3mm)です。

次は動輪、第1動輪
9600_143_144
第2動輪
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第3動輪
9600_142_143

第4動輪
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  9600で必ず話題に上る動輪クランクの位相が左が先行しているという話題。
  動輪の図では、反対側のクランクピンの位置に丸印が書かれていますが、確かに左側が先行する形になっています、これについて、どうしてこの様になったのか考えてみたいと思います。
  9600以前の機関車はクランクの正反対の位置にバランスウェイトがありましたが、9600から左右のクランクの位置を加味したクロスバランス方式に変わったため、 第3動輪以外はバランスウェイトに角度が付くようになりました。
  この角度の向きは、反対側のクランクの側に傾くため、左右のクランクが右先行か左先行かで傾きが違ってくるため、右先行、左先行では動輪の鋳物自体が変わります。
  この図では右バランスウェイトが右に振っていますが、右先行の動輪では全く反対の形になります。
この、鋳物自体が変わってしまうというのが大きくて、この機関車の設計がどんどん進んでいき、図面を完成させる時期は戦場のような忙しさで、どこかに勘違いがあったのか、設計段階でバランスウェイトを反対に書いてしまい、そのまま製作現場に流れてしまって、木型の完成まで終わってテストショットまで行ってしまった後で左右逆で作られていることに気が付いたと思うんですよ。
このような大型で一部に体積の大きい部分があり、信頼性の高さが要求される鋳造は非常に難しく、鋳造も熟練の経験が要求されます。
テストショットの段階で、鋳造のエキスパートが試行錯誤を繰り返して作り上げたものと言えます。
その段階で反対に気が付いたとしたら、もはやもう一度1か木型を起こして鋳造をやり直すとなると、現在の大型の木型の費用を考えた場合、莫大な損失となり、工期にも影響が出ます。
  そのように考えると、左先行を変えられなかった理由が見えてきます。

  では、それまで日本は全部が右先行であったのか?
手元の資料で見る限り、国鉄系の機関車は全て右先行と考えてよさそうです。
日本に最初に来た英国製の機関車は右先行が標準で、それ以降は全部それに合わせたと思われます。
  私鉄等を調べたところ、ドイツ製の私鉄向け機関車に左先行が見られます。
これはその一例、クラウス製、花岡鉱山1,2号機です。
67546755_z452_12_a2_300
  私鉄の機関車は大抵の場合、国鉄工場でメンテナンスをするので、こういう左先行の機関車も整備していたはずで、標準のクォータリングマシンが使えないとは言え、地方鉄道に特別高価な整備費用を請求したとも思えず、致命的と言えるほど大きな問題ではj無かったように思います。

炭水車はこの系統から450立方尺の3軸車になります。
9600_450_6001_4
炭水車のタンク
9600_450_212
台枠
9600_450_201
配管
9600_450_200
このシリーズの図面はここまで。

次回は、9633の詳細写真を掲載します。

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2018年2月10日 (土)

一枚の図面から 50-4 機関車編 9600 9618-9657

9600、今回からは最初のマイナーチェンジの9618~9657を見ていきましょう。

今回は上周りの図面です。

組立図
410_1dh2_9600_012_stitch_50
このシリーズは全体から見れば少数派の40両ですが、機芸出版の蒸気機関車スタイルブックの図はこの図をトレースしたものです。

先ず目につくのは、運転室が小さくなって裾が乙型になった事ですね。
この運転室については、9600では初めて新製から後ろの妻板が付きましたが、通常の形です。

それでは、明細図の順に図面を紹介していきます、非常に古くて変色がひどい状態だったので、ちょっと見難いものですが、貴重な図面と言う事でご容赦ください。

煙室戸
9600_018_016
9618以降の図です。
後の機関車では、煙室戸の周りの内側にアスベストのリングがあって、そこで気密が保てるのですが、この図面ではそれが無いので気密を保つために、周りにクリートを付けています。

煙突
9600_050_048
9600~9651は前回紹介したものですが、9652から通風改善で2インチ太くなりました。

自動器
9600_067_066
自動器は初期の過熱式ボイラの煙室に付いていたもので、次の図の風戸を開閉するために蒸気で作用するシリンダです。

過熱器風戸装置
9600_063_062
この図は9658からの物ですが、説明のためにここに入れます。
右側は、煙室を前から見たもので、左の「A」に自動器のクロスヘッドが付きます。
レギュレータを引いていない状態ではこの図の状態で、「D」は「E」のウェイトのために上に上がってフタが閉じていて、大煙管は閉ざされて過熱管が加熱されません。(「E」の腕にも「D」が書かれていますが、ここでの「D」は下のフタを指します)
力行時に自動器に蒸気が入ると「A」の上部が後方に動き、「I」を動かして「D」を回転させてフタが開いて過熱管が加熱されます。

自動器運転装置
9600_068_067
自動器の動きを手動にするものです。

これらの過熱加減装置は後に廃止され、常に過熱が行われるようになりました。

ボイラケーシング
9600_069_069
ボイラケーシングの板厚は1/16”、1.6mmですね、全体の大きさを考えるとペラペラと言っていい薄さですね。
ボイラバンドは、2”x1/16”、幅50.8mmで厚さが1.6mmです、写真ではボイラバンドがほとんど見えないのがうなずけます。

砂箱
9600_092_093
空気が無いので、砂撒きは手動式です。

このグループの運転室やその他の図面はありません。

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2018年2月 2日 (金)

一枚の図面から 50-3 機関車編 9600 9600-9617

9600の初期量産タイプ9600-9617

就役後は予想以上の好成績で、箱根ではマレーに対して、牽引力は少し劣るものの、高速運転が可能で、勾配用というより高速貨物用としても使えると言う事になり、量産が決定しました。

大正3年から始まった、馬場(大津)-京都間の改良工事は大正10年に完了して、
最大25‰の勾配は10‰に緩和され、曲線も300mが廃止されたので、勾配専用機が不要となりました。
そのため、一般貨物用に増備された9600と共通運用ができるように、一部改良するとともに、炭水車を大型化することになりました。
8700の一部は東北方面に配置になりましたが、有効長を考えるとダブルボギー付きの長大な炭水車は長すぎるので、6700の炭水車と交換したのですが、残りの8700や、6700の3軸炭水車等が入り乱れて、この9600の炭水車との交換が行われましたが、最終的に8700は6700の3軸炭水車、9600は8700のダブルボギーや新製したもの、6700及びそれの改造のB50は元の物や9600の2軸、8700のダブルボギーが入り乱れたものとなりました。

前回2軸炭水車を紹介しましたので、今回は8700の3500ガロンダブルボギーの炭水車を紹介します。
87128729_3500
その他で図面的な面で改造は、運転室の後ろ妻板の追加です。
これは第2回の明細図にあった、一般用の後ろ妻板です。
9600_261_257
この図の左下部の注記に、「大正4年7月9日 9600-9617へ新設」と書かれています。
これは、それまでは後ろ妻板は無く、大正4年から新設したと言う事ですね。
これは下記の写真でも分かりますが、組立図でも分かります。
410_1dh2_9600_007
これは前回紹介した組立図の一部ですが、運転室を後ろから見ていますが、椅子等がまる見えで、前の妻板が見えています。
これは9550ですが、このようなイメージですね。
9550

それでは、数葉の写真を紹介します。
9602号の竣工写真
759602l
運転室背面の妻板が無いのが分かりますねぇ。

9600の就役間もないころ
73960034

9600の昭和9年の姿
73960019340412_l
各部に近代化改造が施され、炭水車は標準型の6-13型を付けています。

9603、昭和11年岡山です
76960319360310

9608、ダブルボギー
819608l
後に一般的な3軸の物になりました。

最終機9617、昭和4年撮影
96009617_1929_3200l
まだ随所に原型が残っています。

所謂一次型と呼ばれるものはここまで。
次回は9618以降です。

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2018年2月 1日 (木)

一枚の図面から 50-2 機関車編 9600 9600-9617

9600、最初のグループは1~17号、川崎造船により1913年に製造されました。

設計の陣容は、鉄道院側が工作課長島安次郎、担当は朝倉希一、川崎の太田吉松(きちまつ)がメインとなりました。

太田吉松氏は、R.F.トレビシックの2番弟子と言われていますが、9150等の図面には太田のサインがあり、一番弟子と呼ばれる森彦三のサインが入った図面は見たことがない。
神戸工場製の機関車の実質的な設計は、計算等は森がやったかもしれないけど、実際の設計は太田が担当したのではないかと思うんですよ。
川崎が森ではなく太田を招へいしたのもその証左かと思うんですよね。

川崎は飽和式の9550に続き過熱式の特許をシュミット社から購入して決定版として9600を製造しましたが、明治44年にドイツから輸入した8850の高重心のアイディアに触れて、火室の火床面積の拡大に窮していた9600をボイラを上げて、火室を動輪の上に置いて、広火室とし、火床面積も増大して新たに設計しなおしたのが、今回紹介する9600です。
この機関車の登場により、従来の9600は9580に改番されてしまいました。

実際の鉄道院の発注は、9600~9609が京都-大津間(旧線)の勾配用、9610~9617が山北-沼津間の箱根超えの勾配用としてのもので、区間が短いので、小型の炭水車となりました。

この機関車の図面は、9600としての最初の物だけですが、明細図は一部しか持っていないので、全部を掲載します。

機関車組立図、中央をテープで補修してあり、見苦しいですがご容赦ください。
410_1dh2_9600_008_stitch_50

第2回目の明細図に、このような図があります。
9600_004_002
9600_005_003
この2枚はなぜ2回目の明細図に入っているのか不明ですが、正式な組立図より後に図面番号を取っているので、量産が始まって以降に新たに書いた物とも考えられますが、正規の組立図に比べて完成度が低いので、私は計画段階の図面を残すために図面番号を取ったものかと思っています。

機関車の図面は煙突があるだけです。
9600_054_052
この煙突は、9600~9651号までの物で、それ以降の物より2”細く、化粧カバーのくびれも大きくなっています。

次は炭水車です。2000ガロン炭水車と呼ばれています。
組立図は無いので、水槽と台枠です。
9600_2000
9600_2000_1
今回はここまで。
このタイプはもう一回続きます。



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2018年1月30日 (火)

一枚の図面から 50-1 機関車編 9600 説明

このところ何かと忙しくて長らく滞りましたが、そろそろ再開いたします。

今回から久しぶりの「一枚の図面から」、今回は9600。

結構保存もされていて、有名な機関車ですが、末期の種々雑多な時期はいろいろと本にも写真等が出て人気ですが、それらの本を見ても、製造当時の姿は、数枚の同じ写真が載るばかりで、この機関車の製造時を詳しく書いた本はほとんど無いのが現状ですね。

SLブーム以降の9600は他の人に譲って、私が好きな製造時の紹介を分類を基本にまとめていこうと思います。

研究のよすがとしての基本的な資料は製造時の組立図をはじめとする図面と竣工写真ですが、9600は明細図集が、少なくとも4種類ありそうです。
私はそのうちの最も最初の物を除く3種類のコピーを所有しておりますが、最初の物は組立図と図面目録(目次に相当)のみを持っており、後期の2種類は目録がありません。

1501291_8

この目録には、図面が適用する機関車番号が書かれているので、図面と共に見れば、設計変更が行われた機関車番号が分かる訳です。

まず、最初の明細図の目録、9600~9657までの時期の物です。
410_1dh2_9600_001_stitch50
410_1dh2_9600_003_stitch50
この目録は3列になっていて、それぞれの列は、左から「項目」、「ページ」、「図面番号」、「図面名称」、「適用機関車番号」、「備考」となっています。

次の目録は、9618以降と思われますが、大体は9699までが適用範囲のようです。
9600_001_1
9600_002_2
次回から、これを元に図面を見ていこうと思います。

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