書籍・雑誌

2015年4月 2日 (木)

一冊の本 鉄道に関わる論文

一冊の本、今回は趣味の範囲を超えた技術論文の世界です。

元々、私のように浅学菲才で愚鈍な輩にとって、学問に通じる論文という物は、ほとんど縁のない存在なのですが、
私のような者に紹介してくださる方が居られまして、大阪市立大学教授の坂上茂樹氏とお付き合いをさせていただく光栄に浴する関係となりました。

氏の多くの著書や論文には鉄道に関係するものも少なくなく、技術を専門的に研究される方や該当する事例について探求したい方の欲求に十分に応えられるものと思います。

まず、市販の刊行物から。
絶版の物もあるようですが、入手可能なもの。

ある鉄道事故の構図-昭和15年安治川口事故の教訓は生かされたか
    2005年刊行、西成線安治川口駅でキハ42000が転轍機途中転換で
    脱線横転横転した事故についての考察とその後の対策の検証。

鉄道車輌工業と自動車工業 (近代日本の社会と交通)
    2005年刊行

舶用蒸気タービン百年の航跡
    2002年刊行、日本と世界の蒸気タービンについて
    非常に詳しく研究しています。

次は、大阪市立大学の論文です。
以下は、大阪市立大学学術機関リポジトリで、「坂上 茂樹」で検索するとリストアップされます。各論文を選んで「本文(PDF)」横のアイコンで「対象をファイルに保存」でダウンロードできます。

この中から、鉄道に関するものと、航空機等の内燃機関に関する論文は以下のようなものがあります。
1、C53型蒸気機関車試論〔訂正版〕
      私が最初に坂上教授の論文に接した物です。
      名機と呼ばれるC53について、
      その実態を技術面から徹底的に研究した論文、
      海外の3気筒機関車との比較や構造、動作面からの細かい検証
      目から鱗が落ちますよ。

2、鉄道車輌用ころがり軸受と台車の戦前・戦後史
       鉄道車両用ころがり軸受の黎明期から戦後の発展期までの、
       産業、構造等の発展を追って非常に詳しく掘り下げた労作です。

3、国鉄湘南型電車の台車ならびに車軸軸受について
       2項の続編ともいえるもので、80系電車の各台車の構造説明と
       軸受周りの検証。

4、途中転轍事故とデテクタバー : 線路の側から見た安治川口事故の要因に関する一試論
      上記刊行物の安治川事故の線路側から見た原因究明。

直接鉄道に関わるものはこれくらいでしょうか、他にエンジン関係等多くの論文がありますので列挙します。(順不同)
1、三菱航空発動機技術史 : ルノーから三連星まで
2、三菱内燃機・三菱航空機のV及びW型ガソリン航空発動機
3、日本内燃機 “くろがね” 軍用車両史
4、陸軍車両用池貝渦流室式高速ディーゼル機関について
5、Rolls Royce 初代 Eagle 航空発動機について : その戦後改良に見
  る動力技術進歩の内部構造
6、スミスモーター再論 : わが国におけるモータリゼーションの忘れら
  れた原点を顧て
7、戦前・戦時期の国産中・大型自動車用機関について
8、三井鉱山 三池ならびに田川瓦斯発電所について   

大阪市立大学学術機関リポジトリには、他にも多くの論文があります。  

坂上茂樹教授関係の論文の紹介は以上ですが、

鉄道研究に興味がある方は、青木栄一氏、堤一郎氏等の論文ぜひお勧めします。
ダウンロードできるものがありますので、検索してみてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年3月29日 (日)

一冊の本 シキ170について 2

シキ170の試験結果報告、鉄道技術研究所速報です。
発刊から50年以上経っていますので著作権は大丈夫ですよね。
昭和33年9月発行です。

170_001l

170_002l_2
170_003l
170_004l
170_005l
170_006l

ここから同等なグラフが続き、
170_011l
170_012l
170_013l
170_014l
170_015l
この後、グラフが4ページ続いて終わりです。

抜粋したページ、ご入用の方はメールをください。

今回掲載した資料は、鉄道に関する論文を多く書かれている、さるお方からの提供です。
そういう論文に興味がおありの方、メールいただけましたら、論文のダウンロード方法等連絡させていただきます。

鉄道技術研究所速報や業務研究資料はこういう各種試験や珍しい情報が満載です。
私も何冊かは持っているのですが、発行量が膨大です。

だれかデジタル化してくれないかなぁ・・・・

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2015年3月27日 (金)

一冊の本 シキ170について 1

一冊の本、今回は難しいです。

シキ170は昭和30年の登場当時日本最大の大物車で、最大荷重の釣掛式の場合170トンの積載能力がありますが、登場からちょうど1年後の昭和31年7月23日、南武線尻手駅構内ポイントで、第4ボギー先頭軸が乗り上がり脱線を起こしました。

原因は固定軸距離4200mmであるのに、中間軸の遊間がほとんどなかった事と、第1、第4ボギーの連結器のオーバーハングが大きいための軸重の不均衡とされています。

その対策として、中間の第2、3軸の遊間を大きくし、第1、4ボギーのオーバーハング対策として当該ボギーに死重を積載、さらに速度制限と半径300m以内の曲線通過の際には機関車により線路に散水するようにした。

以上の対策の後、昭和32年8月に向河原駅構内に於いて空車状態で走行試験をしました。

さらに測定精度を上げるため、車輪をスポーク車輪として昭和33年1月、積車と回送空車状態の試験をしました。

今回紹介する資料はその2回の試験結果をまとめたものですが、この資料を発端に登場間際の紹介記事が見つかりましたので、形式図も含めて、「資料」として紹介します。

まずは形式図、大型貨車形式図 昭和36年版から、シキ170Aです。

36_p79_170a_l

格好良いですねぇ。私はこの形が一番好きなんですよ。

それの諸元
36_p78_170_l_2

次はシキ170Bの空車
36_p81_170b_l
車輪径に注目!φ860です。
同じく積車
36_p83_170b_l
シキ170Bの諸元
36_p80_170b_l
輪軸は中空軸圧延車輪となっています。

では、シキ170登場直前の紹介記事、車輛工学昭和30年7月号から
250_p1819
250_p2021

形式図と諸元とで、車輪は12t中空長軸で車輪直径は860となっています。
これは、上記形式図と一致しますので、登場当時からしばらくの間は車輪径860であったと思われます。某資料で車輪径は800と書かれていたので丸覚えをしていたのですが、丸覚えは禁物ですね。

次は、昭和46年版私鉄貨車形式図から
1971_170_l
昭和36年に大改造がなされ、第1、4台車のオーバーハングが短くなりました。車輪径はこの時に800mmに交換されたようです。

その後、昭和52年に輪軸が12t短軸のφ860車輪に交換されたようです。

続いて試験報告をと思いましたが、長くなりましたので、次回としましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年3月22日 (日)

一冊の本 鉄道史料144号

本日届いた本です。

鉄道史料144号。

今回は袋に「謹呈」と書かれています。
1503211lm

「機会がありましたら内容を御紹介いただければ幸いです」と書かれていますので、紹介させて頂きます。

表紙
1503212

表紙はアプトの10000(EC40)の牽く列車です。カラー絵葉書、綺麗です。
関連記事として、運転関係の資料と、昭和9年のダイヤグラム、そして3900の運転室のアップの写真が掲載されています。

「謹呈」と言う事で、私に関わる記事があるのですが、元々は湯口徹氏から紹介された、ある機関車の写真、これがどういう機関車であるのかということで、私のわかる範囲でご意見を申し上げただけなんですが、それを記事にしていただけたと言う事で本当にうれしい事です。
その機関車の写真、ここに掲げますが、解像度を落としておりますので、興味ある方は是非購入してください。
1503213

記事はこんな感じ
1503214

謎の機関車満載ですよ。

他にも貴重な研究成果が盛りだくさん。
湯口氏の「戦前地方鉄道/軌道の内燃機関車」をはじめ、Dan Free氏の貴重な写真、東京馬車鉄道の車両の研究など、いずれも今まで未発表の記事多数です。

ここに載せました写真、不都合でしたらすぐに削除いたしますのでその場合はご一報ください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2015年3月19日 (木)

一冊の本 知られざる連合軍専用客車の全貌

今回は最新刊です。

中村光司著「知られざる連合軍専用客車の全貌」、JTBバブリッシングから発刊されました。

1

鉄道友の会の客車気動車研究会にて、創世記の客車冷房装置や進駐軍客車についての著作をしながら地道に客車の研究を続けられてきた中村光司氏が市販書として単独で初めて世に出したものです。

JTBに秘蔵されていた写真や、これまで多くの人々の協力により集められた資料によって、進駐軍客車研究の決定版とも言える労作です。

70年前の非常に限られた分野について、これまで著作物に載らなかった多くの資料と写真の多さに驚きを禁じえません。

内容の一部を紹介します。表紙も含め、カメラによる写真で歪んでいることは承知ですが、ちゃんとした物は現物を購入していただきたいということで。

2

終戦直後の進駐軍によるカラー写真、黒岩保美氏の有名な透視図。

3

有名なオクタゴニアン、御料車10,11号はこのページ以降4ページにわたり多くの写真が紹介されています。

4

初公開の写真多数と、内部等はわかりやすい図で形式毎に分類して説明。

これまで形式図集は出版されましたが、写真と対比して非常にわかりやすく説明され、著者の得意分野である初期の冷房装置等、盛りだくさんの内容です。

全256ページ、税別2,800円です。

この分野での巨星、星晃氏、岡田誠一氏亡き後、色々と困難があるとの事ですが、客車研究の分野において大いに頑張っていただきたいと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (0)