一枚の図面から 50-3 機関車編 9600 9600-9617
9600の初期量産タイプ9600-9617
就役後は予想以上の好成績で、箱根ではマレーに対して、牽引力は少し劣るものの、高速運転が可能で、勾配用というより高速貨物用としても使えると言う事になり、量産が決定しました。
大正3年から始まった、馬場(大津)-京都間の改良工事は大正10年に完了して、
最大25‰の勾配は10‰に緩和され、曲線も300mが廃止されたので、勾配専用機が不要となりました。
そのため、一般貨物用に増備された9600と共通運用ができるように、一部改良するとともに、炭水車を大型化することになりました。
8700の一部は東北方面に配置になりましたが、有効長を考えるとダブルボギー付きの長大な炭水車は長すぎるので、6700の炭水車と交換したのですが、残りの8700や、6700の3軸炭水車等が入り乱れて、この9600の炭水車との交換が行われましたが、最終的に8700は6700の3軸炭水車、9600は8700のダブルボギーや新製したもの、6700及びそれの改造のB50は元の物や9600の2軸、8700のダブルボギーが入り乱れたものとなりました。
前回2軸炭水車を紹介しましたので、今回は8700の3500ガロンダブルボギーの炭水車を紹介します。
その他で図面的な面で改造は、運転室の後ろ妻板の追加です。
これは第2回の明細図にあった、一般用の後ろ妻板です。
この図の左下部の注記に、「大正4年7月9日 9600-9617へ新設」と書かれています。
これは、それまでは後ろ妻板は無く、大正4年から新設したと言う事ですね。
これは下記の写真でも分かりますが、組立図でも分かります。
これは前回紹介した組立図の一部ですが、運転室を後ろから見ていますが、椅子等がまる見えで、前の妻板が見えています。
これは9550ですが、このようなイメージですね。
それでは、数葉の写真を紹介します。
9602号の竣工写真
運転室背面の妻板が無いのが分かりますねぇ。
9600の就役間もないころ
9600の昭和9年の姿
各部に近代化改造が施され、炭水車は標準型の6-13型を付けています。
9603、昭和11年岡山です
9608、ダブルボギー
後に一般的な3軸の物になりました。
最終機9617、昭和4年撮影
まだ随所に原型が残っています。
所謂一次型と呼ばれるものはここまで。
次回は9618以降です。
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コメント
日本の蒸機は、外国の蒸機に比べるとロコに対してテンダーが短いような気がします。
ターンテーブルの有効長や給水可能な途中駅が多かったなどの理由があるのでしょうが、スタイル的にはもう少し長いテンダーの方が格好がよいと思います。96も四軸ボギー炭水車を牽くと、かなりイメージがかわって、スメートな印象になりますね!
投稿: ゆうえん・こうじ | 2018年2月 3日 (土) 00時59分
私もそう思います。
特に明治期の片ボギーの炭水車は短いのが多いですねぇ。
まぁ、平地の少ない国土なので、有効長を取るのが難しいのと、炭水車が重くなると牽引効率が悪くなるのが理由だと思いますが、やはりもう少し長い方がいいですねぇ。
9600で言うと、一番最後の写真のダブルボギーは恰好良いと思います。
投稿: クラーケン | 2018年2月 3日 (土) 04時11分
イモンから1/87のボギーテンダー付き9608が発売になっているようで、同社のHPの模型の写真を見ても格好がよいですね。実物写真より模型の方が石炭を盛り上げているので、バランスがよい?ように見えます。
自分は仕掛かりの珊瑚96原型の二軸テンダーを8800用三軸テンダーに振り替えるつもりでいましたが、このボギーテンダーもよいなと思うようになりました。両方作って気分でつなぎ替えるのがよいかもしれません。ところで、二軸からボギーテンダーに振り替えられたのはやはり空制化後でしょうか?
投稿: ゆうえん・こうじ | 2018年2月 3日 (土) 13時15分
ボギーテンダ良いですねぇ。
8700のテンダーが6700と交換されたのは割合古い時期だと思うんですが、9600の場合は少し後だと思うんですが、記録が全くなくてよくわからないんですよ。
投稿: クラーケン | 2018年2月 3日 (土) 14時48分
1921(大正10)年8月1日に現山科経由の10‰新線が開通して京都大津間の補機が不要となります
「鉄道統計資料」翌年度版に「2000ガロン炭水車を450立方フィートに改造 6両」とありますので梅小路にいた9600など6両が該当すると思われます
この時9608など残りの4両にはボギーテンダーがあてがわれたのではないでしょうか
山北にいた8両については残念ながら不詳です
以上ご参考まで
投稿: たかひろ | 2018年2月 3日 (土) 20時03分
たかひろ様
情報ありがとうございます。
大正10年時点で、6両分新製して、その後の物は2軸炭水車を6700と交換した元8700のボギーテンダが再度譲渡されたり8700から直接来たり、色々な可能性が考えられますが、この辺りを調べた資料は見つかりませんね。
私の手元にある写真では9600,9603,9613,9614,9615,9616が3軸テンダーで、9608と9617のみボギーテンダが確認できます。
ただし、9614,9615,9616は炭鉱鉄道に譲渡されてからの確認で、大正10年より古いものが付いてる車もあるので振り替えられている可能性は大いにあります。
投稿: クラーケン | 2018年2月 3日 (土) 22時34分
初期国産機関車はやっぱりインチ設計なんですね。部品は最後までインチ系統の材料が供給されたとすると現場は管理が大変だったでしょうね。
それにしてもダブルボギーのスタイルは進化した9200といった趣があるように思います。
投稿: 道草人生 | 2018年2月 5日 (月) 06時22分
国鉄では大正10年にフィートインチからメートル法に変更されました。
それ以降はインチとミリが混在することになりますが、基本的な素材や部品は踏襲され、今でもインチサイズの物が手に入りますし、鉄板などは今もインチベースの板厚が基本となっています。
9600のダブルボギー、私は日本鉄道の9300や9400のイメージに感じますが、9600自体は9150の直系と言えますね。
投稿: クラーケン | 2018年2月 7日 (水) 01時56分
ご返信ありがとうございます。
郵便荷物車の登場はそんなに後だったのですね。
9600の改造は興味深く拝見しております。
9600初期タイプのテンダにつきましては9610が昭和8年ごろの写真でボギーテンダを確認しております。
投稿: けぬち | 2019年1月26日 (土) 12時26分