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2017年2月 1日 (水)

全盛期の山陽鉄道 4

今回取り上げた事故の記録で、私のような者にとって重要なのは、列車の編成が書かれていると言う事ですね。
それをまとめるとこのようになります。
Photo
 斜線の所は記事により、事故によって破損したと思われる部分です。
正面衝突と言っても、走ってたのは片方だけで、大分減速も出来ていたと思われますね、それでも炭水車や蓄電池車、郵便車はかなりの被害を受けています。

 下り最急行の機関車92号は33年に作られて3年しか経っていない4-4-0の16形、後の形式6120形6124号です。
 列車は蓄電池車+6輪ボギー車7両、これで最高速度97km/hを出せるんですから、4-4-0って意外に強力ですねぇ。

そして、ぶつかられた貨物列車は、機関車95号、なんと、この機関車も305列車の物と同型、後の6126号です、貨車は16両+石炭積みのトが3両とのことです。実際にこのように並んでいたかどうかはわかりません。

これらの車両で分かるものをピックアップしてみましょう。
先ず機関車、同型の89号です。
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真横は93号、これは、後に改造されて6050形となりましたが、この写真は改造前
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 この機関車は、明治33(1900)年アメリカのスケネクタディで製作されたもので、8両が作られました。当時日本で最大級の5フィート(1524mm)の動輪を持ち、同じ軸配置を持つ当時の日本の機関車では、関西鉄道の6500の単式時に次ぐ最高性能の機関車で、6500の複式時はこの機関車よりかなり引張力が小さいので、実質的に当時の最高性能の機関車と呼んで差支えありません。
 官鉄の6400はこれより大きく見えますが、ボイラの実質的な大きさはほとんど変わらず、この機関車は使用圧力が高い分、高性能になっています。
 より大型の6600や後の制式機6700よりもシリンダ引張力が大きいのは意外ですね。

 私は、この機関車と今回紹介した事故の件で、ちょっと思うことがあります。

 この事故の年に、この機関車を元に兵庫工場で山陽鉄道初の完全新製として17形が4両作られました、後の6100形です。
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 機関車本体は6120と比べて、煙突と運転室の窓くらいしか違いがありませんが、炭水車は形が違います。
この時すでに前照灯の受けに特徴が表れてますね。
この後、少し形態を変えてさらに4両製造されます。

 ここから私の想像なんですが・・・
正面衝突で16形2両が大きく破損したわけですが、機関車の数が減っていないので、今のように簡単に廃車にしたりせず、兵庫工場で復旧工事をしたようです。
 破損の状態は、鉄道時報の記事でははっきりとはしませんが、双方とも前部デッキはかなり破損し、シリンダから前の台枠も破損したと思われ、先台車も大きく被害を受けたようです、92号は運転室や炭水車もかなり破損したようで、台枠後部も破損した可能性があります。
 兵庫工場ではこれらの個所を新製部品を作って復旧することになりますが、事故車の補修部品を余分に4両分(後に更に4両追加)製造し、その他の部品も4両分作って機関車を4両新製したんじゃないかと思うんですよ。という訳で、この事故が兵庫工場でこの後多くの機関車を新造するきっかけになったんじゃないかと思ったりするんです。

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コメント

山陽鉄道の最急行は、チク以外に7両も客車牽いていたのですね。模型だと客車は金属製の7両だと4-4-0牽引では厳しそうです。やはりフル編成にするならペーパー製で軽量化図るしかなさそうです。
また模型では非力な4-4-0ですが、実物では結構強力で貨物列車も多く牽いていたという話を聞いておどろきました。6120が当時の4-4-0では最高性能の機関車というのも意外でした。
ところで6120のテンダーですが、ボールドウィンタイプとスケネクタイプとが4両ずつのようですね。これはやはり補修用部品を活用したので半々になったのでしょうか?

投稿: ゆうえん・こうじ | 2017年2月 2日 (木) 01時31分

ゆうえんさん
そうなんですよ、4-4-0って意外に強くて、明治時代は貨物も結構牽いていたようです。
6200は6270より牽引力があったので、貨物によく使ったというのを聞いたことがあるし、蒸気機関車の特性として、低速なら牽引力が増えますからねぇ。
それにしても、この編成を金属で実現するのは並大抵ではないかもしれませんね。
炭水車の件、6100ですね?この頃の兵庫工場では、台車を作るのはへっちゃらだと思うし、テンダ台車の予備品など聞いたことがないので、あくまで新製だと思いますよ、2種類に分けたのは、設計者の練習か、違いを見極めるためか・・・想像するしかないですね。

投稿: クラーケン | 2017年2月 2日 (木) 09時47分

失礼しました。6100です。
ところでボールドウィンタイプとスケネクタイプのテンダー 素人目にはデザインの違いにしか見えないのですが、構造的に大きな違いがあるのでしょうか?

以前珊瑚が山陽鉄道の客車をブラスキットで出していましたが、牽引機が同社の5900だとパワトラつきのブースターのチクつないでも、勾配走行は難しかったでしょうね。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2017年2月 2日 (木) 11時50分

テンダ台車の違いは、両方の図面がないので何とも言えません。性能の違いは、元の機関車でテストすれば良いだけなので、私的には技術への興味くらいしか思いつきません。
珊瑚の山陽鉄道の客車はピボットの車軸ですが、台車側の穴が普通の穴で、回転抵抗が大きいので、この穴を改造する必要がありますね。
けど、どっちみち、この編成に使える製品はほとんど無いので何らかの形で自作する必要がありますね。
今流行りの紙のレーザーカットで作りましょうか。

投稿: クラーケン | 2017年2月 3日 (金) 03時07分

紙のレーザーカットで作られるなら、ひとくちのせてください。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2017年2月 3日 (金) 13時58分

ゆうえんさん
やりたいですが、窓割が全く分かりません。
まだ写真があるものはある程度計算で出せますが、写真が全くない物も多いので難しいですねぇ。
S模型の製品の窓の根拠はどうなんでしょうねぇ。

投稿: クラーケン | 2017年2月 4日 (土) 03時13分

S模型のの山陽鉄道客車の窓割りは、おそらくTMSの浮津さんの記事がベースだと思います。浮津さんも当時正確な資料をもたれていた訳ではなく客車の形式図などを参考にデザインされたとうかがったような気がします。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2017年2月 4日 (土) 08時59分

木造客車とアメリカン4-4-0の組み合わせは快速運転に最適ですね。本家アメリカでもNYCの999が明治26年に100マイル越えの記録を出してますし。素人考えではシリンダー出力は貨物、旅客は動輪直径だと思っているのですが、そういった意味で大動輪の面目躍如ということですか。
でもスピードを出せたのは模型の話と同様に牽引される客車が鋼製ではなく木造で軽かったことも寄与していると思います。

投稿: 道草人生 | 2017年2月 4日 (土) 09時33分

NYCの999、112.5マイル/hって181km/hですねぇ。蒸気機関車は均衡速度でけん引力が変わるので、高速を出そうと思うと牽引力が減ります、逆に速度を落とすと、空転直前までの牽引力が出ます。
均衡速度はシリンダ引張力によって決まるのでこれが大きければ、重量列車を高速で牽引できますね。
山陽鉄道の客車は3軸ボギーでも20t前後とかなり軽くて、同時代の官鉄のオイラン型より6,7トンも軽くて、全部「ホ」級やからね、ちょっと後の中型客車の3軸ボギー車なんかは30t超えてるんですよ。

投稿: クラーケン | 2017年2月 4日 (土) 23時20分

続きの記事を書いていて、ちょっと間違いが見つかったので、編成図を更新しました。

投稿: クラーケン | 2017年2月 5日 (日) 00時17分

なるほど、そういう理屈ですか。素人には動輪直径に目がいってしまいます。999なんて2200ミリもありますから。そしてその原則を理解すると、車輌限界の制約があった英国の急客機にマルチシリンダーが多く、米国でもパシフィック主体のペンシルバニア鉄道が重量級のプルマンカーリースではなく独自の軽量客車を開発したのは理にかなってますね。
それにしても山陽鉄道と官鉄の重量差。軽すぎるのか重すぎるのか、木造客車でこれはにわかには信じがたい差ですね。

投稿: 道草人生 | 2017年2月 5日 (日) 08時57分

山陽鉄道の客車は、現代の鉄道車両の考えと似ていて、耐用年数に応じた設計がされているように思います。
これらは昭和8年頃に廃車されたものが多くて、戦後まで残った物はわずかですが、官鉄で作られた物は昭和30年頃まで結構な量が残っていました。
山陽鉄道の客車の重量が軽いのは、徹底した軽量化が図られていたことで、台枠も台車も、官鉄の客車に比べて部材がかなり細くなっています。トラス棒も通常はボルスタ間だけですが、山陽のは1本(中央はターンバックルがあるので、正確には2本)のトラス棒が台枠全長にわたっていて、端バリでボルトで締め上げるようになっています。
台車にもトラス棒を使って軽い部材で強度を上げています。
こういうのを細かく見ていくと面白いですねぇ。

投稿: クラーケン | 2017年2月 5日 (日) 13時43分

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