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2016年1月16日 (土)

一冊の本 機関車史研究会の本 2

金田茂裕氏は1981年に「日本蒸気機関車史  私設鉄道編Ⅰ」を出した後、メーカー別の冊子を精力的に出版しながら、大きな仕事を準備していたようです。

  皆さんは、国鉄関係で蒸気機関車は何形式あるんだろうと思ったことはありませんか?

  1981年の時点で、国鉄の蒸気機関車がどれだけあるのかが分かる資料は、
公的な資料としては、「全国機関車要覧」や国鉄の形式図は発行時点のリストがあるだけで、歴代の機関車をまとめてはいません。
百年史等の歴史書や「写真解説 機関車進歩の跡」には歴代の機関車のリストはありますが、ナローなどは無く完全ではないんです。
  研究家がまとめたものでは、臼井茂信氏が1956年に発刊した「国鉄蒸気機関車小史」が最初の国鉄の蒸気機関車の一般の全形式をまとめたものと思われます。
その後1960年に写真集「日本の蒸気機関車」が発刊されて、国鉄のナローも一部紹介されました。
その後、臼井茂信氏が1968年に「日本蒸気機関車形式図集成  1、2」を刊行し、初めて国鉄の蒸気機関車の全貌が網羅され、翌年には西尾克三郎氏の「記録写真蒸気機関車」が発行されました。
  この時点では国鉄の蒸気機関車を体系的に解説したものは実質的に「国鉄蒸気機関車小史」だけで、ほとんどの形式は写真が無く、解説も簡単なものが多くて、外観は写真集および「日本蒸気機関車形式図集成」で想像するしかないという状況だったんです。

  1981年当時、これらの書籍は市場に無く、私のような世代には全く調べようがないという状態だったんです。
  それを憂い、金田氏は国鉄の蒸気機関車を写真と外観と寸法に正確を期した形式図に諸元と詳細な解説を加えた決定版を企画しました。
それが1984年に発刊された「形式別国鉄の蒸気機関車  Ⅰ/Ⅳ~Ⅳ/Ⅳ」の4冊及び、1987年の「国鉄軽便線の機関車」の5冊です。

前置きが長文になってしまいましたが、「形式別国鉄の蒸気機関車  Ⅰ/Ⅳ~Ⅳ/Ⅳ」
1

私の1巻は読みすぎて表紙がかなり傷んでますねぇ。

内部
2

9150のページ、右上の写真は初披露となった増備型です。
これまで、わずかな情報しかなかった機関車達がやっと日の目を見ることになりました。

「国鉄軽便線の機関車」
1_2

内部
2_2

形式に「ケ」が付く一般のナロー機関車に加えて「車蒸」に番号が付いた建設用に番号が付けられなかった機関車まで、資料が乏しく、記録もほとんどない機関車達を、あらゆる努力を払ってまとめあげた苦労作です。

このシリーズに書かれた形式図に前後の図を加え、添削を加えた決定版としての形式図集を1988年に発刊しました。
「正背面図入 蒸気機関車形式図集 Ⅰ~Ⅳ」です。
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内容
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各種データと大きな図面、細かな番号の書き分け、本当に凄い図面集です。
どうしても組立図等が無い機関車の模型を作る人がこの図面を元に作られています。

  金田さんはこれらの本をまとめるに当たり、海外の博物館等の保存施設を回り、多くの組立図等を入手して、それによって形式図を書かれました。
もちろん手に入らない形式も多く、それらは国鉄形式図その他と写真等を研究して非常に多くの時間を掛けて書かれたものです。

  組立図や竣工写真は、海外の博物館等に問い合わせたり海外の研究家と交流したりして多くの資料を入手したことがこれらの研究の元となりました。
  そのうちの一部を1977年鉄道史資料保存会から大版の図面集として発刊したのが「英国製蒸気機関車図面集」です。
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当時で100年以上前の芸術的な組立図が大判で印刷され、美しい竣工写真とともに、何か月も飽きもせず食い入るように見たものです。
当時17,000円は非常に高価でしたが、全く「高い」とは思いませんでした。

  さて、最初の質問の答え
国鉄の蒸気機関車の内、1067mm軌間の機関車は形式1からE10,D62まで324形式も有るんです。
  そして、ナローや鉄道院になる前に転出した2形式も含めると、全部で387形式(タイプ)にもなるんですよ。皆さんはどれくらいご存知ですか?

さくいん 1  国鉄
さくいん 2 私鉄、海外
さくいん 3 模型、その他

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コメント

「英国製蒸気機関車図面集」も当時としては高かったですねとはいっても、あの本の組立図で、英国型のブレーキまわりやテンダーの給水管の構造がはじめてわかりました。
あの本がなければ、私の7750形の模型は出来なかったと思います。そういったことを考えるとけっして「高い買い物」ではなかったと思います。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2016年1月16日 (土) 08時55分

ゆうえんさん
私も本物の組立図(一部だけじゃないやつ)は初めての経験で、これを見たせいで図面への強烈な憧れが出て、今の仕事につながったのかもしれませんねぇ。

投稿: クラーケン | 2016年1月16日 (土) 13時27分

金額が大きいのと高い安いは別ものだと思っております。
ペラ一枚の図面を手に入れるのにかかった労力やお金を考えると一冊にまとめていただいた資料はとても安い買い物であったと思います。

投稿: 模鉄ちゃん | 2016年1月17日 (日) 12時02分

模鉄ちゃん
そうなんですよ。
金田さんも「英国製蒸気機関車図面集」所載の図面の入手には当時でも数十万円は掛かってると思いますよ。
図面はコピー代で手に入ると思ってる人が多いですがねぇ。

投稿: クラーケン | 2016年1月17日 (日) 12時57分

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