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2015年10月 5日 (月)

一枚の図面から 43 機関車編 9020-1

模型工作の方は、考える事ばかり多くてあまり進まないので、実物の機関車の研究をしましょう。

  8620の初期型の炭水車がどのような構造か考えていた時に図面を漁っていたところ、面白い図面を見つけました。

それがこれです。
2700_9020_86388643_50
  一見、8850等の普通の2700ガロンの炭水車に見えますが、
縦書きの注記に「本図は9020型としての組立図にして前部は「センターバッファー」なれども後8620型に改造して「サイドバッファー」とす。」と書かれています。

  この図面は9020用の炭水車の図面で、8620用に機関車側のバッファを左右2個の物に改造するという物で、改造図は別図と言うことです。ですから本来の9020の図面にこの注記を追記しただけのものとなります。

9020の炭水車と言うと・・・
468329023wicollection_l

  有名なこの写真の、非常に短くて高さが高い特異な物とのイメージですが、
この機関車、ご承知のように元はこのような物だったんです。
498294600alco

  1911年3月、ALCOで6両製造されたこの機関車は、当初4600という形式で、機関車本体のみが輸入されました。
  炭水車は日本で製造されましたが、どういう物か今まで分からなかったんです。
上図の炭水車は、基本寸法も構造も8850等、汽車会社製の3軸炭水車を元にしており、前方の台枠の構造やブレーキシリンダの位置等が異なる程度です。

  そこで、上記の写真とこれに近い角度のこのタイプの炭水車の写真から合成してみました。
498294600alco_200

  機炭間の処理や炭水車の遠近感等、つたない点はご了承ください。
また8800の写真を使ったのでイコライザが付くなどは無視してくださいね。
後の短い炭水車の異様さがなく、良い感じにまとまっています。

  日本に到着して、新橋工場で組み立てられたのち、この炭水車を付けて、各種テスト走行をした結果、前部台車の蛇行運動が原因で動輪タイヤの偏摩耗が激しいことが分かったので、1912年に浜松工場で先輪を追加することになりました。
  先輪を追加したため機関車の軸距離が延びて、当時の転車台に乗れない場合があるため、全軸距離を短くするためにこの炭水車を外して、新たに短い物を製造したと推察します。

  その時に余った炭水車は、製造後まだ1年しか経っていないので、一時保管の後、汽車会社で製造中の8620に使用した物と考えられます。

上記炭水車の図面集の目録にはその8620の番号が書かれています。
2700_50

  この図の左上、組立図の項の2、「8620-ヒ-2」が上図で、右に「8638~8643に対してのみ」と書かれています。図面の注記の8620はこの番号が相当し、両数も9020と同じ6両です。

  8620も末期は他の機関車の炭水車との振替が多く発生し、このタイプが最後まで残らなかった可能性は高いのですが、一度写真を見てみたいものですね。

9020に戻って、
  この機関車は1913年3月に上記の改造工事が終わり、後の御殿場線でマレー式機関車の教習用に使用され8月からC+Cマレーによる本格的な運転に寄与しました。
その後、東北本線黒磯-白河間の勾配線で使用され、1925年に廃車されてしまいました。

次回からは、この機関車の明細図を載せましょうか。

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コメント

9020改造後の短いテンダーよりは形態的にはましだと思いますが、このテンダーつないでも「木に竹をついだ」ような感じで格好良くないですね。形態的には9750のテンダーつなぐのが一番よかったと思います。
この時期機関車本体は輸入、テンダーは国産というのが数形式ありますが格好がよかったのは8700のダブルボギーテンダーだけであとは形態的にはイマイチだと思います。実物では振り替えはなかったようですが、8800や8850は、後の96や86の箱形テンダー増炭板付のようなドイツ風テンダーが一番に似合ったと思います。軸距の短いダブルボギーならなおよかったと思います。そのうち模型でやってたいと思っています。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2015年10月 5日 (月) 09時11分

ゆうえんさん
私もそう思いますが、私なら9020に9750の片ボギー、9750はダブルボギーで行きたいところですねぇ。
使用目的上さほど大きい炭水車が不要だったのと、最大原因は60フィートの転車台に乗らない事でしょうか。
1911年に大量に輸入した機関車はみんな炭水車は国産ですが、関税が上がるまでに来なければならないのと、単年度の予算の都合でしょうかねぇ。
私は3軸炭水車が似合うのは8700だけと思いますが、他の機関車は全部ダブルボギーか川崎の片ボギーにすれば良かったのにと思いますねぇ。
9600でダブルボギーを付けた9608や9617等、一度作ってみたいと思っています。
人の好みも色々で面白いですねぇ。

投稿: クラーケン | 2015年10月 5日 (月) 12時24分

9020機関車とテンダーの話、おもしろいですねえ。
この機関車、輸入時に「ALCO代理店M物産の政治がらみの売り込み」 とか
「輸入に反対していた鉄道院工作課長の島安次郎氏が海外出張中に発注した」とかの話が残っているようですね。
そして、輸入後、10年余りで廃車の運命をたどる………。

まるで、歴史小説・推理小説のようなおもしろさがありますね。

クラーケンさん、もう少しこのシリーズ続けてみてください。

投稿: YB老人 | 2015年10月 6日 (火) 10時33分

YBさん
それはあくまで想像の世界で・・・証拠は何もないけど・・・明らかに・・・・怪しいなぁ・・・
この時代の炭水車面白いので続けようかなぁー
けど、マレーをやってしまいましょうか。

投稿: クラーケン | 2015年10月 6日 (火) 20時21分

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