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2014年9月 9日 (火)

一枚の図面から 30 機関車編 アプトの機関車 3980-2

3980の汽車会社の竣工写真は2枚あります。

 朝倉圀臣氏が大切に保存されてきた、非常に貴重なものですが、今回快く掲載の許可を頂くことが出来ました。

512号、後の3980号です。
31512l

513号、後の3981号
32513l

この2台の機関車は同型と思われます。

これらの写真のボイラー周りをよーく目を凝らして見ました。

 上の512号の写真は、運転室の後端辺り、ランニングボード(水タンク下端)くらいの高さにカメラを据えて撮った物と思われます。
ですから、問題となるボイラはサイドタンクのせいで、本来より低く見えているはずです。

サイドタンクから上を拡大してみました。
31512_2
 後ろから見ていきます。
四角い重油タンク中央付近から後ろは火室部分のケーシングが見えています、上辺はサイドタンクと平行、つまり水平に見えます。
そして、その前の蒸気ドームの後ろは、ドームの裾とボイラーケーシングがわずかに見えていますが、ドームの前側は少し下がっているような感じで、裾もケーシングも見えていません。
サンドドームは前後とも裾は見えていません、その前の煙室の後端には段差が見えていて、煙室は上面が見えていますので、ボイラーケーシングに対して段差があるのが分かります。

 垂直の線は、運転室入口の線はほぼ垂直ですが、サイドタンク前面の線はレンズの収差で後ろにかなり倒れています。重油タンクからドーム、煙突等は多少の傾きはありますが収差を考えると、大体垂直に立っているようです、サンドドームはわずかに先細、煙突はわずかに先太のようです。

 513号の写真は斜めで、カメラの高さは512と同じくランニングボード辺りです。

拡大です。
32513
 これも後ろから見ていくと、火室はベルペイア火室であることが分かります。火室の前からは奥まるので重油タンクの陰になって見えません。
蒸気ドーム後端は、かすかにボイラケーシング上端が見えるようです。前端付近にケーシングとドーム裾の線があるのですが、ケーシングは斜めに下がってサンドドームとの中間くらいでサイドタンクの上縁の線と重なってしまいます。
当然サンドドームの裾は見えませんが、煙室はかなりの段差で上に上がってます。
煙室前面はサイドタンク前面と面一で、3950のように一体になっていなくて、各々が独立しています。

 この写真も、レンズの収差があり、垂直面をサイドタンク前端に合わせたので、運転室入口は前に傾いていますが、ドーム類のわずかな傾きは512の写真で見たと同様、収差によるもので、傾いていないと思います。

以上をまとめると、
・火室はベルペイア火室で水平?。
・ボイラケーソングは火室より前から、前下がりに傾斜している。
・3950ではほとんど段差がない煙室との境に大きな段差がある。
・重油タンクやドーム、煙突は垂直と思われる。

これを、ボイラが1/30勾配で前下がりの金田茂裕氏の形式図と比べてみましょう。
116_0251_3980

まず、火室の高さですが、写真より少し高いように見えますが、それはとりあえず良しとして、火室部分の高さは見た目通りで良いのでしょうか?

ベルペイア火室は断面が四角形で、上部は幅が広くなっています。
これを撮影した場合の見え方を図にすると。
3980_2
左端の図示がカメラの位置で、斜めの線が視線です。視線の一番下の線がサイドタンクの上縁で、これより上が見えている状態になります。
拡大図で、サイドタンクの視線のすぐ上は、ボイラの上縁で、サイドタンクのすぐ上に見えます。これは写真の蒸気ドーム後方のボイラケーシング上縁に当たります。
火室は普通の丸い物ならばこの線で見えるはずですが、ベルペイア火室は幅が広いので、さらに上の「ベルペイア火室」の視線の位置に見えます。

写真で火室上縁はサイドタンクからかなり上がって見えるのは、ベルペイア火室で幅が広く、ボイラ中央部に比べて実際よりかなり高く見える事によるものと言えますね。

そう考えると、サイドタンクより大分高い位置に書かれている金田さんの火室はかなり高すぎると言う事になります。

煙室の高さは、3950と同じなので、火室を下げてしまうと、ボイラに1/30の勾配を付けようと思えば、ボイラ前端(煙室後部)には火室が下がった分だけ大きな段差が加わることになりますが、段差が大きすぎて非常におかしなものとなります。
そのような場合は、普通煙室を下げますが、鉄道院の形式図でも写真でも3950との高さの差は認められません。

と言う事は、ボイラの勾配は1/30よりかなりゆるい事となりますが、碓氷線の最急勾配は1/15(66.67‰)ですので、半分の1/30よりゆるくては、せっかく勾配を付ける効果がほとんど無くなってしまいます。

では、どうなっているんでしょう?
という所で、次回に続きます。

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