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2014年7月 9日 (水)

一枚の図面から 26-10 機関車のバネ装置 10

今回からは、少しだけですが、鉄道模型でイコライザーを作る場合の例を紹介していこうと思います。

鉄道模型でのイコライザーの必要性があるのかないのか、諸説ありますが、実物とは違って軸重に制限がないので、なくても良いとも言えるのですが、線路から電気を取るので集電性能の向上、多少の粘着性の改善、重心の移動、脱線の防止、ジョイント音、それに工作の簡易化と、多くの効果があり、私は基本的に必須ですが、固定軸が良いと考えられる人たちも居られます。

まぁ、興味のない人は置いておいて、興味のある方だけご覧いただければと思います。

模型の軸可動の方法には各種あり、昔から製品に採用されていたものは、四角の軸箱の上部にコイルばねを置いたもので、非常に簡単に可動化できるのに対して、軸重の不均等やバネの強さの調節が難しい問題があります、反面、構造が非常に簡単なので、現在でも多くの製品に採用されているし、自作の作品にも採用される方々が多く居られます。

この方式は、軸箱の上下の可動範囲の中央に軸箱を置くと言うようなことは非常に難しく、一般的には強めのバネで、動輪押さえ板に押し付けて、強い力が掛かったときのみバネがたわむようになっています、製品では動輪が3軸の物も4軸の物も重いもの、軽いもの、全て同じばねを使っているので、動輪4軸で軽い機関車などはほとんどバネがたわまないので、コイルばねは弱いものに変えるべきです。
しかし、軸箱の上下の可動範囲の中央に軸箱を置く程度の強さに調整した場合は、機関車がふらふらと安定せず、良い音は出るものの揺れの多い機関車になります、やはり少し強めにするのが良いのでしょうか。

近年になって、イコライザー風の線バネや、板のイコライザー、実物無視の怪しげな3点支持等、多少なりともイコライザーを考えた製品が出てきましたが、イコライザーは付いているものの、4点支持になっていたり、3軸の中央だけ異常に軸重が重くなったり、ちぐはぐな物もいまだに見受けられます。

また、最近は、実物ではメンテナンス等の問題でほとんど採用されていない「ロンピックイコライザー」と称する支点を4点持つものや、「ふかひれ」と称するねじれ方向に作用するイコライザーが自作等の模型の世界で流行しています。

それらに関しては、私はそれほど興味が無く、作ったこともないので、模型雑誌やインターネットによって情報を得て頂きたいと思います。
ここでは、実物の鉄道車両で採用されている3点支持に限定して考えていきたいと思います。

市販のキット等を見ると、意外におかしなことをしている例が多いのが4-4-0の軸配置の機関車です。
動輪の可動を嫌ったのか、先台車は全く荷重を掛けず単に遊んでいるだけで、後方の動輪は軸箱非可動として、そのあたりに小さいウェイトを乗せているだけ、
あるいは先台車はコイルばねで受けて、動輪もコイルばねと言う製品等、どれも牽引力は無く、先台車の脱線は茶飯事と言うような状態。
なぜ最も簡単なのに3点支持としないのか不思議でなりません。

4-4-0の最も簡単な3点支持。
440_2d_2
例によって形状等は一例で、考え方と言う程度としてご覧ください。
 先台車は特に可動しなくても良いと思います、中心ピンの所で、バネを付けず(緩衝のゴムや板バネ程度なら可)先台車は台枠に対して自由に動きますが上下動はしません。
 そして後部の2軸の動輪は中央にイコライザーのピンを付けて板から作ったイコライザーを付ければ終わりです。簡単でしょ?
これで走行安定性能は格段にアップします。
この構造は横から見るとちょうどボギーの客車等の動きと同じで先台車も動輪も回転中心で自由に上下に回転運動が出来て線路の起伏に対応することが出来ます。

また、動輪にイコライザーを付ける事によって、動輪の荷重点が第1第2動輪間となるため、ウェイトを少し前に置いても動輪に利くと言う事です、また、私は4-4-0の場合は必ずやるのですが、炭水車の重量を連結棒を介して機関車に転嫁させますが、その場合も動輪の荷重点が前方なので効果が上がります。

3D図です。
440_3d_2
上側が一般的な2Dの物です。
台枠にタップを立てて内側から段付きネジでイコライザーを取り付けます。

 下方の図は、私が良くやる方法で、線バネを使った簡便な方法です。
このタイプのみそは、線バネを普通思うよりかなり強いものにすると言う事です。
通常機関車のみの重量ではほとんどたわまない状態で、軸箱可動範囲の中央で安定する状態にします、この線バネはイコライザーの働きとして作用するわけです。ですが固いと言ってもバネですので、わずかにたわみ、実物のイコライザーと重ね板バネの様な感じになって、ジョイント音が劇的にソフトになり、軽やかな走行音になります。

この線バネの硬さを決めるのは場所が許せば太くすれば問題ないのですが、私は主に材質で硬さを調整します。
よく使う材料は、柔らかい順に、燐青銅>ステンレスバネ線>ピアノ線、私はこれらの材料から選択して、微妙な硬さを直径の選択で調整します。

軸箱は、私は通常ボールベアリングを使います。内径3mm以下のベアリングは種類も豊富でいろんな箇所に使えて精度も高く価格も手ごろで非常に便利です、外径が丸いので、線バネの場合も軸箱上での折り曲げも不要です。

次はCタンクや1Bの場合。
1255_2d_2
左側は、先台車の分が1軸になったという考え方で、後方の2軸は4-4-0と全く同じです。

先方の1軸は台枠間に板を渡し、中央にM2程度のタップを立てます。左右の軸箱に乗る形で横にずれない構造の左右渡りのイコライザーを作り、中心の上から先を丸めたネジで押さえます、このネジの先端の高さで機関車の水平を調節することが出来ます、このネジは自由に回ってはいけないので、ダブルナット等で固定します。
この構造で前の1軸は中央で左右が上下する構造になるので3点支持が成立します。

もちろん前後は関係ないので、1点側は後方でも問題ありません、木曽森林鉄道のB-1タンク等(実物)はこの構造で左右に回転するようになっていますね。

3Dです。
1255_3d1_2

例によって、下側はバネ構造にしたものです。1点側は板バネとしましたが、他にもいくらでも方法がありますね。

下から見た物
1255_3d2
今回はここまでです、次回も模型編ですが、そろそろ終わりかな?

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コメント

はじめまして
毎回楽しく拝見させて頂いています。
軸箱にボールベアリングをお使いとの事ですが、電蝕対策はどのようにされていらっしゃいますか?アースブラシを付けられているのでしょうか?

投稿: FUNAKOSHI | 2014年7月10日 (木) 00時26分

FUNAKOSHI様
ベアリングの電蝕についてよく聞かれますが、昔のモーターならともかく、現在の小電流のモーターでは全く心配の必要はないと思いますよ。
私は30年以上前からボールベアリングを使っていて、運転会でガンガン走らせますが、ベアリングが電蝕した感覚は全くありません。
クラッチを付けていて、動輪は手で軽く回るようになっているので、電蝕特有のざらつき感があればすぐにわかるはずですが、全くスムーズです。
実際、ベアリングの球は常時2点は接触しているわけで、この場合の電蝕はイオン化傾向の差ではなく、離れた瞬間に起こる微細なスパークよっておこるので、常時2点が接触しているこの場合に電蝕が起こらないのは当然かと思います。

投稿: クラーケン | 2014年7月10日 (木) 01時33分

ありがとうございます。ボールベアリングの導入検討します。

投稿: FUNAKOSHI | 2014年7月10日 (木) 02時05分

FUNAKOSHI様
最近はちょっと停滞中ですが、横のカテゴリー欄の「160製作記」と、「7010.5100の製作」等を見て頂ければ、ベアリングの使い方などの参考になるかもしれませんよ。

投稿: クラーケン | 2014年7月10日 (木) 09時15分

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