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2014年6月

2014年6月30日 (月)

一枚の図面から 26-7 機関車のバネ装置 7

これまでで、大体の構造を説明できたと思いますので、これからは、各種機関車のイコライザーの紹介をしていきましょう。

最初は、最も簡単な3点支持、Bタンクです。
13l
この機関車は浜松軽便鉄道の1-3号、後の遠州鉄道奥山線ですね、1913年、オーレンシュタイン・コッペル製の20HPクラスの機関車です。
第1動輪は左右独立、第2動輪は重ね板バネを左右に渡し、バネの中央でスイングしてイコライザーを兼ねた物となっています。

次は8550、九州鉄道を代表する機関車ですね。
8550
アメリカ製では珍しくない構造ですね。もっとも重い火室部分を動輪2軸で負担していますね。コイルばねを使って微細振動にも対処した、丁寧に作られた機関車のように思います。

次からは有名どころになってきます。
9600です。
9600
最早説明の必要もないくらいオーソドックスな構造ですね、先輪と第1動輪で1点、第2から第4までをつないで左右2点としています。第3第4動輪が下バネなのは火室との干渉を避けたためです。
先台車へ行くイコライザーは、シリンダ下の中心ピンの位置が3か所に移動できるようになっていて、軸重を調整できるようになっています。

次は6700です。
6700

全国の私鉄を国有化した後の最初の標準設計の機関車です。
この機関車の動輪のイコライザーは非常に変わっています。
通常の板状のものではなくて、軸バネの上下の動きを、ベルクランクで前後の動きに転換して、棒によって次の軸へ動きを伝えるというもので、通常のイコライザーより軽く出来ます、特に軸距離が長い場合はメリットが顕著ですが、蒸気機関車ではあまり採用されません、やはりピンが多いのでメンテナンスの問題でしょうか。
とはいえ、近年のボギーのディーゼル機関車に採用されているものがあります。

このベルクランク方式、動輪のイコライザーで使われる例はまれですが、非常に有名な先台車に採用されています、それがこれ!
86201

8620の島式と呼ばれる1軸心向台車ですが、これの動輪からのイコライザーが、このベルクランク式なんです。
この台車は中間部に左右の復元バネを持ちます、第2第3動輪が固定なので、先台車と第1動輪は一体化して同じ方向に回転して、中間部の復元バネに力が掛かります。
よく、この復元バネ部を中心に、先輪と第1動輪が逆の方向に回転すると考える人が居られますが、それはあり得ません。
この台車の場合、先輪と第1動輪があたかも4-4-0の2軸先台車のように挙動するのがミソですね。ですから曲線通過性能は非常に良いのもうなずけます。

シリンダとこの台車の狭い空間を使ってイコライザーを通すのに、ベルクランク方式はスペースを取らないので最適と言えますね。

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2014年6月26日 (木)

一枚の図面から 26-6 機関車のバネ装置 6

今回は軸配置1-C-1、動輪は3軸ですが、これまでの要素が全部入っていてかなり難解ですが、これまでの記事をまじめに読んでいただいてたら、これまでに出てきた構造の組み合わせなので、もう難しくはないと思いますよ。

今回例に引っ張り出すのは、スケネクタディの3100、軸重が重すぎて、サイドタンクやリヤタンクを無様なまでに切り取ってしまって、原形とは全然違う外観になってしまいました。
組立図なので当然原形です。
3100
これまでと向きが違いますが、先輪と第1動輪をつないで1点とし、第2、第3動輪と従輪は片側で一つながりで、左右に1点で3点支持となります。

例によって3D画像です。方向は組立図と逆で、左が先輪です。
31001
31002
書くのが大変なので、先輪、従輪は簡略したものとしました。
実際は、イコライザーの下にビッセル台車の先端が来て、その下にリンク式の復元装置があって、さらにコイルバネを介して軸箱へとつながります。
この辺りの構造もいずれ書きましょうか。

前方のイコライザーは左右の渡りイコライザーの上下の動きを前方へ伝達します。
左右の渡りイコライザーがあるので、第1動輪と先輪で1点を構成します。
後部は左右の2点ですが、火室の所は上バネに出来ないので、バネとイコライザーが連続する特異な構造ですが、アメリカ製ではかなり一般的な構造です。
従輪はイコライザーは左右に分かれていますが、そこから下の構造は先台車と同様です。

2D図です。
3100_2d

下2段の模式図は、一番上の支点が中央になっていないところがミソで、支点をずらす事により、各車輪の軸重配分を変えることが出来ます。
具体的には、先輪、従輪へ行く最後のイコライザーの支点をずらします。
この支点は何点か穴を開けて、ピンをずれる穴を変える事によって、先従輪の軸重を幾通りかに変えることが出来ます。
この3100も組立図をよく見ると先輪のイコライザーの中心ピンの穴は3か所開けられていて、ずらせるようになっています、これは9600等も同様ですよ。
有名な例では、C62を東海道や山陽本線から、北海道等に転属させる時に「軽量化工事」と称する工事を施工しましたが、
これは、従台車と動輪を結ぶイコライザーのピンの位置を後方にずらして、従輪の軸重を増やして、動輪の軸重を減らしたものです、イコライザーで均等化されるので、一部の支点を変えるだけで、全体の軸重を変えることが出来るわけです。

1-C-1の例をもう一つ、次はイギリス製の3200です。
B6に先輪を追加したようなものと思っていましたが、下周りはかなり違い、
イギリス製には珍しく、イコライザーが付いた3点支持となっています。
3200l
3100に比べて、前の1点は先輪から第2動輪までをイコライザーでつないでいます。
これは前の1群の重心は第1動輪前後になり、3100のように、先輪と第1動輪の間に重心が有る物より、機関車全体の重心がかなり後方になると言う事です。
また、先台車のイコライザーと従台車のイコライザーの中心を比べてみると、従台車の中心ピンがイコライザーの中心近くにあるのに比べ、先台車の中心ピンは相当動輪側にずれています。
これは、先台車の軸重はかなり軽く、従輪の軸重は第3動輪とさほど変わらないと言う事です。
これは、先ほどの機関車全体の重心が後方に偏っている証ですね。
第2、第3動輪を後方にずらせば良いのですが、固定軸距離が相当長いので、これ以上伸びるのを嫌ったのかも知れませんね。

それにしても・・・・3100と3200を比べて、3100だけが重軸重だったと言うのは前々から疑問に思っています。
スケネクタディの設計者が軸重計算と言う重要なものを間違えるとも思えないし・・・大畑で長期間活躍したというのも18tもの軸重が有ったとはちょっと思えないんですが・・・
問題が発覚したのは、1913年に実際に実測したからとの事ですが、金田さんもこの実測は怪しいと書かれていますが、私も眉唾ではないかと思っています。

実際18t超の最大軸重は第2動輪だったそうで、改造後は14.1tになったとの事なんですが、組立図のイコライザーを見てください。
改造工事は側水タンクの前方を短くしてさらに前方を大きく斜めにカットしています、これは前方の重量を3.64t減少させています。
また、後部石炭庫の高さを減じて、2.57t減らしています。
イコライザーは先輪と第1動輪のみ、第2動輪から後ろは一体のイコライザーになっています。と言う事は、前方1点の支点はシリンダの後部辺り、後部左右の2点の支点は第3動輪あたりと言う事になります。
改造で減少させたのは水タンクは前方のみ、前の1点は大幅に減少したと思われますが、  問題の第2動輪にはほとんど影響がありません。
これはおかしいですね。

ここからは資料がないので私の単なる想像なんですが、このような改造で、第2動輪の軸重を減らすには、このままのイコライザーでは到底無理で、私は下図のように改造したとしか考えられないんです。
31002l

このように、第1第2動輪間にイコライザーを追加して、第2第3動輪間のイコライザーを切断して上下のばね釣りをそれぞれ台枠と接続して、ここのイコライザーは縁を切ります。
前方のイコライザーを第2動輪まで延ばせば前方1点が第1動輪後方に来るので、改造した個所の重量軽減が第2動輪に及びます。

こういう想像をするのは、鉄道研究においても結構有用で、何らかの矛盾を見つけてそれを検証するのも面白いことです。
このような考え方で新たな発見も見つかったりしますので、研究は非常に楽しいですよ。


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2014年6月23日 (月)

一枚の図面から 26-5 機関車のバネ装置 5

イコライザーの基本的な考え方は理解いただけたでしょうか。
ダメ押しでもう一枚。
5l
3点支持は、基本的に、側面だけで終わる物2点と、左右の渡しが有る物が1点で構成されます。

これを踏まえて、実例に戻ります。

今回は4-4-0の場合。
4-4-0(2B)は最も簡単に3点支持に出来るのですが、メーカー製の模型で3点支持になっているものは意外に少ないように思います。

まず、基本的な6200の例
6200
これは、先台車の中心で1点、動輪間に左右にシンプルなイコライザーを付けてこれで綺麗な3点支持になります。
イギリス製はイコライザーを使わない機関車が多いですが、高速用に作られたこの軸配置の機関車はほとんどにイコライザーが付いていて、イギリス製はこのタイプが一般的です。
この形は、ボギー台車の車両を例にすると、前はそのまま、後ろは回転しないボギーと言えるので、ボギー台車のように線路に追随出来ると考えると理解しやすいように思います。

3Dです。
6200l
実物資料なしで、頭の中のイメージで作ったモデルですので寸法はでたらめですが、先台車も含め、イコライザーの考え方は合っています。

2D図です。
6200_2dl
これがアメリカ製になると、大分イメージが変わりますよ。
ブルックス製の5160
5160
火室が台枠上に張り出してくるので、下バネにする必要がありますが、
軸箱を下から引っ張るのを嫌って、馬蹄を半分にしたような板を軸箱に上から引っ掛ける形になっています。一見異様ですが、他の構造同様、ジャッキアップすると一気にばらばらになるためメンテナンスは非常に楽です。なお、この板は台枠を挟んで左右に有るので意外に枚数が多くて、各軸で8枚づつ付きます。
先台車は見た目は違いますが、6200と同様の構造です。

同じアメリカ製でもスケネクタディの5700ではこのようになっています。
5700
これも下バネですが、軸箱上部をイコライザーにして、中間を重ね板バネにした例です。
前後端のコイルばねは微小振動の吸収用です。5160と同様、イコライザーは薄板で、台枠の左右に付きます。
バネが薄く、コイルバネ付きで、乗り心地が良さそうですね。

次回は少し複雑になります。











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2014年6月20日 (金)

一枚の図面から 26-4 機関車のバネ装置 4

実物の例を数点紹介しましたが、ここで、イコライザーの知識と考え方の説明をしようと思います。

イコライザーの最も基本的なものはこのようなものです。
1l
  上段の「模式図」に書いたように、軸箱をビームで結び、その中央(変える場合もある)で、回転できる構造になっていて、そこに荷重が掛かります。
このようにすると中央1点の荷重が前後に均等に分配することが出来、さらに軸箱の上下の動きも可能となります。
  実際にはこれにバネが入るので、2段目以降のような構造になることが多いです。
これは、バネ装置の前後端は台枠にピンで受けて、重ね板バネとイコライザーによって、模式図のような動きを比較的小さい部品で構成しています。
  図ではちょっと分かりにくいですが、軸箱の上の弓形の物が重ね板バネで、このバネ自体がイコライザーの役目も果たします。
 
  重ね板バネは非常に大きなファクターで、その特性は、板バネを重ねることにより、板同士に摩擦が発生し、ある程度の荷重までは固まりの状態で一体化し、摩擦限度を超えればバネとして作用し、その摩擦力によって減衰効果もあるという、非常に優れたバネです。
この減衰効果はコイルバネや空気バネには無いので、重ね板バネを使わなくなった現代の鉄道車両では、通常のバネに加えてオイルダンパなどの減衰装置を併用していますね。
  なぜ近年はこのすぐれた重ね板バネを使わなくなったかというと、まさに、ある程度までの荷重ではバネの効果がないという事で、細かい振動や衝撃吸収には効果がない点です、要するに乗り心地を一定以上にはできないという事です、ですから重ね板バネを使った台車では細かい振動吸収にコイルばねを併用することがよくあります。
 
イコライザーを使ったバネ装置には絶対的に使われていて、板バネ自体がイコライザー装置の一端を担い、バネにもなるという2役をこなしているわけです。
  図では、重ね板バネはバネの撓みは無い状態ですが、この状態でも十分にイコライザーとしての役目を果たします。
  実際には、模式図のビームをそのまま重ね板バネにした簡便な物も存在しますが、軸距離が大きくなると板バネのスパンが長大になるので、短い軸距離に限られます、その構造は現代の大型トラック等にも使われています。
 
ここで、注意していただきたいのですが、図の下の2段は、イコライザーが動いて線路と台枠が平行でない状態を表しています、まさに走行状態の車輪の動きなんですが、
この図では、当然ながら、イコライザーの中央でシーソーのような状態で、台枠の前後は全く安定しない状態です。この構造のイコライザーを2軸の車両の左右の車輪のところに設置した場合、車両の前後は上がったり下がったりすることになり、使い物になりません。
  ですから、通常はこれに加えてもう1軸、上下方向を規定させる車輪が必要になります。
それは前回説明した1255に相当するわけで、この構造のイコライザーを第2第3軸の左右、そして第1軸の中央で左右方向にスイングするイコライザーを付けて安定させたもので、第1軸中央で1点、第2、第3軸中央の左右で2点の計3点で支持して、一般に3点支持と呼ばれます。
この3点支持の別のタイプを示します。
4l
上の模式図は、車両を上から見たもの、下段の図面も上から見たものを展開したもので、左の図は前から見たもので右側が上方向です。
1255との違いは前方の1点を1軸だけではなく、第1、第2軸をイコライザーで結んで、荷重点を1点にしながら自由な動きを与えているという事です。
第1、第2軸が1点なので、第3軸は左右を各1点の独立懸架で良く、自由度が大きい構造です。
下の2枚の図で、各軸が単独で動いてもイコライザーの動きでうまく均等化されるのが理解できるかと思います。
 
  このタイプのイコライザーは重要で、第1、第2軸の構造を後ろに伸ばして3軸、4軸にすることも可能ですし、第3軸の部分を上記の左右のイコライザーにして、車輪を増やすことも可能です。
  実はこの構造は、近代機や電気機関車に至るまで、1軸先台車や先台車なしの機関車に非常に多く採用されていて、左右に渡る部分が先輪になったりします、有名なD51もこの構造です。
  2軸の場合のイコライザーは、中央の1点でイコライザーが回転するのがわかりますが、3軸やそれ以上になった場合はどうなるのでしょうか?
実は全く同じ構造なんです。
2l
  今度は模式図ではなく「水平」を見てください。2軸の場合と全く同じでしょう?
軸が増えただけ連動を増やすだけですから、いくらでも増やすことが出来ます。
  3軸になった場合の模式図はちょっと複雑で、第1、第2軸間のイコライザーと、第2、第3軸間のイコライザーがそれぞれ独立していて、それらのイコライザーを結ぶイコライザーが全部の荷重を担って、回転もそのイコライザーの中心で行うというものです。
軸が増えるとこの構造がどんどん上に上がりますが、実際の構造の方が単純ですね。
 
  ここで注意したいのは、下部のイコライザーの荷重は中央の軸に前後の荷重が合わさるので、荷重点は1:2の位置にする必要があるという事です。これをしないで前後を中央にしてしまうと中央軸のみ前後の軸の2倍の重量が掛かってしまいます。この例、客車用の3軸台車、TR71や74等で荷重を受けるバネの位置が1:2の位置になっていることで確認できますよ。
この例は軸距離が均等の場合ですが、均等でない場合も問題なしです。
3l
  軸距離が短いところはイコライザーも短くすれば良いだけですが、イコライザーの角度に限界があるので、軸距離にも限界があります。
  これら3軸の場合も、2軸の場合同様、台枠前後はシーソーのように自由に上下しますが、この構造に2軸先台車を付ければ先台車中心が1点となり、非常に安定した物が出来上がります。
  当然、そこら辺の製品のように、先台車にコイルばねなどを入れると飛び上がってしまいますよ。
2軸先台車を持ったC51、C57からC62に至るまで、2軸先台車を持った機関車は全てと言って良いくらいこの構造です。
上記の1軸先台車の例と2軸先台車の例、EF15とEF58が良い対象例です。後で個別に説明しようと思っています。
  私が作る模型は、基本的に全部イコライザーを付けますが、1/80のため実物通りの構造は板バネを受けるφ46の釣ボルトがS0.6のネジを使う必要があり、強度的に自信が無くて、模式図のような構造で作っていますが、昨今は1/80でもちゃんと作られる方が居られてうかうかしてられませんね。
 
多少オーバーとはいえ、K社のC51のように、この機構を再現して(動輪のみ)いるすばらしい製品も出てきたりして興味が尽きません。
  このC51が発売された当時の雑誌の紹介で、イコライザーの構造を理解していない人が記事を書いて、先台車に上下動を与えなければダメとか書いていて大笑いした覚えがあります、
その次の号でメーカーが対策と称した実験記事が出てましたが、メーカーの担当者は困ったでしょうねぇ・・・
それに懲りたのか、それ以降こういう素晴らしい製品が出なくなったように思うのは残念なことです。

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2014年6月17日 (火)

一枚の図面から 26-3 機関車のバネ装置 3

イギリス製は連動のない単独懸架の物が多いですが、その他の国々の機関車では連動するものが多いようです。

その代表例として、アメリカ製の機関車を見ていきましょう。
最初はもっとも単純な例、BaldwinのBサドルタンク、形式5です。後に従輪が付きましたが、もちろん原形の時です。
5
第1動輪は前方で左右渡りのイコライザーがあり、第2動輪は左右独立です。
左右渡りのイコライザー(青色)は台枠側ハリ下部を渡すビーム中央から上に伸びるリンクで引っ張られていて、左右の自由度が大きい構造になっています。
これにより、第1動輪は、車軸中心部を支点として左右にスイングすることが出来ます。
3Dの説明図です。後ろから見たもの
51
左が第1動輪です。
前から見たもの
52
紫色のビームが、台枠側ハリ下部を渡すビームです。
アメリカ製は穴に突っ込んでコッターで引っ掛けているだけの構造が多いのですが、各部のリンクの自由度は大きいです。
2Dです。
5_2d
第1動輪は中央の1点、第2動輪は左右の各1点の全部で3点、三角形になって安定化します。
次は、1255、元阪鶴の機関車で、1350と兄弟機関車です。
1255
5と同じ構造の第1動輪に第2第3動輪間のイコライザーが追加になった構造です。
後ろから見たもの
12551
前から
12552
第2第3動輪間のイコライザーは左右独立です。
1255_2d
第1動輪は中央1点、第2第3動輪はイコライザーの中心の左右各1点の計3点の3点支持です。各軸独立と違ってイコライザーを付けると荷重点をずらせるので設計が楽になりますね。
今回はここまで。

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2014年6月15日 (日)

一枚の図面から 26-2 機関車のバネ装置 2

500、1800と、イギリス製を代表する機関車を紹介しましたが、イコライザーを使わない堅実な構造は一見簡単なだけに侮りがちですが、実際は、軸重分布を緻密に計算された結果こういう配置になったかと思うと、なかなか奥深い物があります。

そのような目で見ると、B6の機関車全体における各車軸の位置も大きな意味があることがわかりますね。
2120です。
2120
ノース・ブリティッシュ、グラスゴー(ドゥブス)工場製、一般的なB6です。
日露戦争時に、これの増備として、アメリカ、ボールドウィン社に発注した2500です。
2500
アメリカ製では珍しく、板台枠で下バネ、イコライザーなしとなっていて、基本部分は原設計に忠実です。
軽い煙室部に対して、重い火室に配慮して、動輪群はボイラーの後ろ寄りに配置されていて、動輪軸距離の違いは軸重計算と火室の下部構造との関係から出されたもの、この配置では、従輪は軸重的にはリヤタンクの荷重負担で、リヤタンク重心より前に位置しているので、リヤタンクだけではなく、ボイラーやサイドタンクの重量の一部も負担しています。機関車の先導としての役割もありますね。
212025001
21202500_2d
他もイギリス製の機関車同様、シンプルな構造ですね。
次はいよいよイコライザーの登場ですが、ここで始めてしまうときりが悪いので、次回からです。

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2014年6月13日 (金)

一枚の図面から 26-1 機関車のバネ装置 1

しばらく橋梁関係が続きましたので、機関車の事に戻ります。

今回から新シリーズ。機関車のバネ装置の話です。
自作の機関車を人に見せた場合、よく聞かれるのが「イコライザーはどうなっていますか?」
「普通に3点支持ですよ」と言うと、「それがよく分からなくて・・・」こんなやり取りがよくあります。
鉄道車両はある時期まで、イコライザーが全盛を極めた時期があります。
特に昨今の機関車のように、箱型で内部の機器の配置を変えることによって軸重をコントロールしやすい物と違って、
蒸気機関車に於いては、イコライザーを使って軸重の均一化と重心の移動、そして先従輪への適正な軸重の配分等を図るのは最も理にかなった構造と言えます。
逆説的に言うと、イコライザーを使わない蒸気機関車は軸重の配分が非常に難しいというわけです。
このように、イコライザー自体は、重量を配分するための物ですが、これを上手に組み合わせることによって、車輪の上下方向の動きに連動性を与え、線路の曲りやねじれ等に追随する柔らかい走り装置を作ることが出来ます。
上記の3点支持は、このイコライザーの組み合わせによって、あたかも3輪車のように線路のねじれに対して完全に追随出来る構造としたもので、イギリス以外の各国で、蒸気機関車の基本的な構造として採用されています。
それでは実際の構造について、図面を見ながら解説していきたいと思います。
比較的単純なものからという事で、500のバネ装置です。
500
オレンジ色が板バネ、黄色は吊リンクです。
各バネは単独で台枠につながっており、イコライザー等の平衡装置はありません。
先従輪は上バネ、動輪は下バネです。
分かりやすくバネ装置のみを3Dで作成しました。
バネやリンクの構造等、細かいところは実物とは違っていますが、あくまで模式図として見てください、左が前方です。
5001
非常に単純な構造なのが理解できると思います。
これを2D化したもの。
500_2d
これらの図は、寸法等は実物の物を元にしていません、あくまでイメージと考えてください。
もう一つの例、1800です。
1800
これも500と同様の構造で、動輪だけの分、さらに簡単です。
3Dです。
18001
2Dです。
1800_2d
全部下バネ、シンプル・イズ・ベストの最たるものです。
 
実際、明治村では、複雑な機構のボールドウィン製の9号より、シンプルな構造のシャープスチュワート製の12号の方が、40年も古いにも拘らず調子が良いらしいです。
次からは少し複雑になりますよ。

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2014年6月10日 (火)

一冊の本 鉄道設計図表全集 橋梁の部 8 高森線 立野橋梁

今回は、第一白川橋梁と同じ、高森線の立野橋梁です。

こちらは、旧餘部橋梁と同じトレッスル橋で、餘部橋梁亡き今、日本最大クラスのトレッスル橋だと思います。
完成は昭和3年、こちらは鉄道省の直轄工事です。
では、図面を見ていきましょう。
一般図です
P190_l
トレッスルが3基、上部はガーターです、餘部に比べて基礎の起伏が激しいですね。
P191_l
上部のガーターの詳細です。横の歩道、木の床で、建築限界からあまり余裕を見ていませんね。ここを歩いていて列車に遭遇したら怖いでしょうねぇ・・・えっ、ここを歩く事自体が怖い?もっともです。今は何か所も避難場所があります。
P192_l
トレッスル詳細です。配置図左側の下が斜めになった橋脚です。本図左下は展開した図ですね。非常に難解な図ですが、大きなものを途中カットして、重要な部分の詳細を示しながら全体を表す方法です。
この橋梁はこの3枚だけです。
写真も簡単に使えそうなのが見つからなかったのでこれでおしまいです。

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2014年6月 8日 (日)

一冊の本 鉄道設計図表全集 橋梁の部 7-2 高森線 第一白川橋梁 2

今回は、高森線の第一白川橋梁を、鉄道設計図表全集 橋梁の部からの図面で紹介いたします。

雄大な構造物ですので、図面も多くて、12枚です。
順に見ていきましょう。
P204
本の順序とは違いますが、全体の構造です。
左が山側、右端が橋梁の中央です、右端を中心にこの図が裏返って向こう側になります。
総重量637.868トンと書かれていますね、大きさの割に軽い?
クーパー荷重はE33です、最大軸重は15t。
ここから詳細図です。
P193
拡大図各部の○の中の記号は、上図及び右の配置図に対応しています。
一番山側の起点の所ですね。
左下は斜めになっていますが、この図は上から見た図です。
 
P194
橋脚部です。
全体の重量の半分が右端の一点に集中します、500トン位を設定しているのでしょうか。
P195
アーチ部です、結構重要な場所だと思います。
この工程は、「汽車会社蒸気機関車製造史」1972年汽車会社刊行に写真があります。
P2701l
何とも恐ろしい作業ですね。
右端はスキャン時の紙の曲りです。
P196
橋梁中央部、下のビームは圧縮荷重、上のビームは引張荷重、その力のせめぎあいを斜めの筋交いで補強します。ベクトル図のままの構造ですね。
基本工程の最後に入れたビームはこの図の範囲のどれかでしょうね。
この工程の写真です。
P2702l
もうじき繋がるというわくわくする時ですね。中央部は隙間を開けています。
この図はアーチの上で、線路が引かれるガーター桁です。
P199
アーチ部の断面図です。
P200
橋脚部の最も高い部分の断面
P201
P198
この図面の右上のバタフライジャッキは、鋼製アーチ橋独特かもしれませんね。
まだつながっていない時に、これで一部の径間を拡縮して、細かな誤差を吸収したり、中央部で最後の部材を入れる時に、先端部を広げて、入れやすくするんじゃないかと思います。
最初の図面に書かれています、これは、中央部がつながった後、寸法調整の上、ジャッキの下の図のビームに置き換えられます。
これも写真があります。
P2703
右端のビームが曲がってるように見えますが、製本のせいで紙が曲がっているだけで、ビームは水平です。
ここからは各部の構造です。
P197
P202
P203
図面は以上です。
「汽車会社蒸気機関車製造史」にエピソードとして、
「架橋が進んで最後の結合材を入れることになったのは、7月の暑い午後のことであった。ところが隙間が少なくてそれが入らない。立ち合いの人の中には嘲笑する者もあったが、現場の当社監督員は少しもあわてず、翌朝改めて作業をやりなおした。すると前日はどうしても入らなかったその部材が難なく入ってしまい、作業を担当した鳶職の親方は喜びのあまり61mの桁の上で踊りだしさえした」と書かれています、
温度差と鉄の熱収縮を利用した話として記録に残っているそうですが、
技術者の感覚で考えれば、こんな事は当然の話で、上の中央部の写真でもバタフライジャッキで引っ張って中央部は十分に広げられているので、
問題などなかったのに、ちょっと演出をしたんじゃないかと邪推したりしますが・・・

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2014年6月 6日 (金)

一冊の本 鉄道設計図表全集 橋梁の部 7-1 高森線 第一白川橋梁 1

鉄道設計図表全集 橋梁の部からの図面、今回は日本の橋梁でも難工事で有名な、高森線の第一白川橋梁を紹介します。

南阿蘇鉄道で現存しますので、お近くの方はぜひ訪問されることをお勧めいたします。
竣工は昭和3年、中央径間91m、全長166m、汽車会社製です。
まずは有名な写真
1l
昭和2年の撮影なのでまだ未完成で、走行試験でしょうか、
機関車は、前は3300かなぁ、後ろは8620やね。

この鉄橋、13mmゲージで超精密なレイアウト、「己亥鉄道」を作られている、豊川市のSさんがこの鉄橋を作ってられますので、紹介させて頂きます。「己亥鉄道」は横のリンクからご覧くださいね。
製作中 1
Dsc_0001aal
製作中 2
Dscn3165al
ほぼ完成状態、列車を置いてみる
Dsc_0001al
Dsc_0006al
Dscn3289al
すばらしい!!の一言!
という事で、図面は次回です。

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2014年6月 4日 (水)

一冊の本 鉄道設計図表全集 橋梁の部 6 手延分解式 架桁機

土木学会図書館が続きましたが、今回もそれとリンクして、鉄道設計図表全集 橋梁の部からの図面を紹介します。

今回の架橋方法は、機関車を使わない方法です。
まずは土木学会図書館のHPからダウンロードした写真です。
Co0431ks10_364span
これは、新たに架ける桁の先を延長するものを付けて、先端を橋脚に乗せて安定させて前方にずらせて架橋するものです。
鉄道設計図表全集 橋梁の部からの図面です。
P208_35
下の小さい図を見て頂ければ全体のイメージがつかめると思います。
追加の桁の先端部にローラーを置き、後部はトロッコに乗せます。
この架桁機の先端が行く橋脚上部にローラーがあり、架桁機の先端がそのローラーに乗るまで繰り出し、架桁機を分解しながらさらに伸ばして桁が正規の位置まで移動した段階で、ジャッキを使用しながら枕木を減らしていって、本来の位置まで下げて設置します。
P209_35
作業の写真です。これから繰り出そうとするところ。
Co0349_2
Co0351
えらいところにぶら下がっていますねぇ。
Co0264
繰り出し中
Co0348
先端が橋脚に乗った。
Co0260
Co0269
架桁機を分解しながら、さらに繰り出し。
Co0267
以上、写真は土木学会図書館、土木貴重写真コレクションから引用させていただきました。

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2014年6月 2日 (月)

一枚の写真から 26 土木学会図書館所蔵の写真 4 機関車 2

土木学会図書館のHPからダウンロードした写真、
今回は、まだ橋が出来ていない時に、機関車を川の向こう岸に運ぶ方法です。

今なら普通に道路で運ぶところでしょうが、道路が発達していない時代はこのようにした記録があります。
場所は、浜田線(現山陰線)浅利-江津間、郷川橋梁、大正8年11月の事です。
Co066150035ton8111
写真のキャプションです、
「機関車解体 大正八年十一月一日撮影 500型35ton濱田線江東以西軌道工事ニ使用ノ当リ郷川橋梁架桁未済ノ当リ渡東岸ニ於イテ解体舟渡ヲナシ江東構内ニ於イテ組立ヲナス・・・以下省略」
機関車は537号、江東は現在の江津駅と思われる。こんな露天で解体するんですねぇ。
Co0662
「解体ノ際ニ川岸ニテ洗鑵ヲナス」
川の水で!、洗い口から入れて、火室底部の栓から抜く。
Co0664boiler10ton
「Boiler,舟渡舟積順備,10ton」
華奢な桟橋ですね。
Co0663
「舟積」
こんな細い櫓で10ton!ちょっと考えられない・・・・
Co066519191102_2
「解体セル機関車舟渡運搬」
人力で川底を棒で押して向こう岸に運んだようですね。相当重心が高いように思うけど、案外安定してるんでしょうねぇ。
Co0668boiler
「Boiler,西岸ニ到着桟橋取り」
東岸と同じような簡単な櫓で機関車を仮設桟橋に引き上げます。
Co0669boiler175tonwinche
「Boiler引揚,桟橋勾配1/7,5ton巻Winche使用 女人夫8人、男人夫2人掛リ」
堤防の上まで引き上げます、勾配1/7は142‰!!碓氷峠の倍ですよ!それを5tの手巻きウィンチと人力で引き上げます。
Co0666
「貨車舟渡運搬,七噸車」
機関車の下周り、動輪や貨車を運びます。
Co0667frame15ton
「Frame,桟橋引揚(15ton)」
ボイラーに比べて安定感抜群です。
仮設の桟橋の構造がよくわかります、軽便鉄道の木造橋のような感じですね。
Co0670l
「機関車組立江東停車場構内詰所前ニテ組立」
組立もこんな環境なんですね、組立に、職工88人で11日掛かったそうです。
前回の最後の写真はこの機関車の活躍中の物と思われます。
以上、写真は土木学会図書館、土木貴重写真コレクションから引用させていただきました。

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