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2014年6月26日 (木)

一枚の図面から 26-6 機関車のバネ装置 6

今回は軸配置1-C-1、動輪は3軸ですが、これまでの要素が全部入っていてかなり難解ですが、これまでの記事をまじめに読んでいただいてたら、これまでに出てきた構造の組み合わせなので、もう難しくはないと思いますよ。

今回例に引っ張り出すのは、スケネクタディの3100、軸重が重すぎて、サイドタンクやリヤタンクを無様なまでに切り取ってしまって、原形とは全然違う外観になってしまいました。
組立図なので当然原形です。
3100
これまでと向きが違いますが、先輪と第1動輪をつないで1点とし、第2、第3動輪と従輪は片側で一つながりで、左右に1点で3点支持となります。

例によって3D画像です。方向は組立図と逆で、左が先輪です。
31001
31002
書くのが大変なので、先輪、従輪は簡略したものとしました。
実際は、イコライザーの下にビッセル台車の先端が来て、その下にリンク式の復元装置があって、さらにコイルバネを介して軸箱へとつながります。
この辺りの構造もいずれ書きましょうか。

前方のイコライザーは左右の渡りイコライザーの上下の動きを前方へ伝達します。
左右の渡りイコライザーがあるので、第1動輪と先輪で1点を構成します。
後部は左右の2点ですが、火室の所は上バネに出来ないので、バネとイコライザーが連続する特異な構造ですが、アメリカ製ではかなり一般的な構造です。
従輪はイコライザーは左右に分かれていますが、そこから下の構造は先台車と同様です。

2D図です。
3100_2d

下2段の模式図は、一番上の支点が中央になっていないところがミソで、支点をずらす事により、各車輪の軸重配分を変えることが出来ます。
具体的には、先輪、従輪へ行く最後のイコライザーの支点をずらします。
この支点は何点か穴を開けて、ピンをずれる穴を変える事によって、先従輪の軸重を幾通りかに変えることが出来ます。
この3100も組立図をよく見ると先輪のイコライザーの中心ピンの穴は3か所開けられていて、ずらせるようになっています、これは9600等も同様ですよ。
有名な例では、C62を東海道や山陽本線から、北海道等に転属させる時に「軽量化工事」と称する工事を施工しましたが、
これは、従台車と動輪を結ぶイコライザーのピンの位置を後方にずらして、従輪の軸重を増やして、動輪の軸重を減らしたものです、イコライザーで均等化されるので、一部の支点を変えるだけで、全体の軸重を変えることが出来るわけです。

1-C-1の例をもう一つ、次はイギリス製の3200です。
B6に先輪を追加したようなものと思っていましたが、下周りはかなり違い、
イギリス製には珍しく、イコライザーが付いた3点支持となっています。
3200l
3100に比べて、前の1点は先輪から第2動輪までをイコライザーでつないでいます。
これは前の1群の重心は第1動輪前後になり、3100のように、先輪と第1動輪の間に重心が有る物より、機関車全体の重心がかなり後方になると言う事です。
また、先台車のイコライザーと従台車のイコライザーの中心を比べてみると、従台車の中心ピンがイコライザーの中心近くにあるのに比べ、先台車の中心ピンは相当動輪側にずれています。
これは、先台車の軸重はかなり軽く、従輪の軸重は第3動輪とさほど変わらないと言う事です。
これは、先ほどの機関車全体の重心が後方に偏っている証ですね。
第2、第3動輪を後方にずらせば良いのですが、固定軸距離が相当長いので、これ以上伸びるのを嫌ったのかも知れませんね。

それにしても・・・・3100と3200を比べて、3100だけが重軸重だったと言うのは前々から疑問に思っています。
スケネクタディの設計者が軸重計算と言う重要なものを間違えるとも思えないし・・・大畑で長期間活躍したというのも18tもの軸重が有ったとはちょっと思えないんですが・・・
問題が発覚したのは、1913年に実際に実測したからとの事ですが、金田さんもこの実測は怪しいと書かれていますが、私も眉唾ではないかと思っています。

実際18t超の最大軸重は第2動輪だったそうで、改造後は14.1tになったとの事なんですが、組立図のイコライザーを見てください。
改造工事は側水タンクの前方を短くしてさらに前方を大きく斜めにカットしています、これは前方の重量を3.64t減少させています。
また、後部石炭庫の高さを減じて、2.57t減らしています。
イコライザーは先輪と第1動輪のみ、第2動輪から後ろは一体のイコライザーになっています。と言う事は、前方1点の支点はシリンダの後部辺り、後部左右の2点の支点は第3動輪あたりと言う事になります。
改造で減少させたのは水タンクは前方のみ、前の1点は大幅に減少したと思われますが、  問題の第2動輪にはほとんど影響がありません。
これはおかしいですね。

ここからは資料がないので私の単なる想像なんですが、このような改造で、第2動輪の軸重を減らすには、このままのイコライザーでは到底無理で、私は下図のように改造したとしか考えられないんです。
31002l

このように、第1第2動輪間にイコライザーを追加して、第2第3動輪間のイコライザーを切断して上下のばね釣りをそれぞれ台枠と接続して、ここのイコライザーは縁を切ります。
前方のイコライザーを第2動輪まで延ばせば前方1点が第1動輪後方に来るので、改造した個所の重量軽減が第2動輪に及びます。

こういう想像をするのは、鉄道研究においても結構有用で、何らかの矛盾を見つけてそれを検証するのも面白いことです。
このような考え方で新たな発見も見つかったりしますので、研究は非常に楽しいですよ。


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コメント

実測するまで使用機関車の軸重がわからなかった しかも実測値は怪しいとは 驚きデス。D51設計者は計算間違えたし・・・・
3100のイコライザー改造ですが第2動輪独立で 先輪と第1動輪、第3動輪と従輪の2群だと 4110と同じで B-1-Bとなり 第2動輪のばね調整で軸重の調整ができる という案はいかがですか。第2、3間のイコライザーを切るだけで済むでしょう。

投稿: どぶちゅー | 2014年6月27日 (金) 00時27分

どぶちゅーさん
実測までは1909年版の軸重が正式やったやろから問題なかったのかもしれませんね、1909年版では14t程度だったと思うので、ただ、保線屋が線路の痛みが激しいか何か意見具申があっったかもしれんけどね。
改造後のイコライザー、その方法だと簡単やね、水タンクをカットした分の、第2動輪への効果はちょっと低くなるけど、第1第2動輪間にイコライザー受けを作らないのは楽やねぇ。改造予算に余裕があったかどうかという所でしょうか。

投稿: クラーケン | 2014年6月27日 (金) 09時07分

改造前の運整69.63トンに対し、改造後は62.37トンで7.26トンの軽減ですが、石炭2.29トン、水3.63トン、合計5.92トンに加え、縮小した炭庫と水槽の軽減分を加味すれば大きな矛盾はなさそうです
改造時は先従輪へのイコライザー支点位置を変更し、先従輪に重量を転嫁してるのも動軸重軽減の要因です
また運整状態と炭水空状態との比較で、第1動輪以前の前群と比べて第2動輪以降の後群の軸重減少が著しく、イコライジングの分割位置が異なる3200形やC12形(第2動輪の軸重減少が顕著でない)と異なる挙動を示していることより、3100形の改造時はイコライジングはいじってないものと判断します
(棒台枠ではイコライザー支点はボイラーと結節しないとストレス過大となる)

投稿: たかひろ | 2014年7月 7日 (月) 12時54分

たかひろ様
実際がどうであったかは今となっては分かりませんが、
金田さんが「実測が怪しい」と書かれたのは3125号機の実測データがあまりにも違うからでしょうね。
第2動輪が5t近く減っていますが、タンク前方のみの改造で水の減少が3.63tでは第1第2動輪間にイコライザーを追加しなければ不可能ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
この機関車はスライドバー後端に台枠の中間鋳物があり、その部分でボイラーの重量も受けていますので、多少台枠の補強をするかもしれませんが、ここにイコライザーを追加することは可能だと思います。

投稿: クラーケン | 2014年7月 7日 (月) 20時29分

3125号機の実測値は改造後ですから・・・
イコライジング分割位置の変更は改造箇所が多過ぎて実際的ではありませんね
原型と改造後、運整状態と炭水空状態の軸重配分を機関車重量に対する百分率で算出して全体傾向を3200形やC12形と比較すれば必ずやご理解いただけると存じます

投稿: たかひろ | 2014年7月 7日 (月) 21時47分

表の見方が間違っていました。
じっくり考えてみたいと思います。

投稿: クラーケン | 2014年7月 7日 (月) 23時04分

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