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2014年5月20日 (火)

一枚の写真から 22 機関車編 阪神間開業時の機関車 1290

阪神間の開業に備えて購入された機関車で、開業以前に製造された機関車はここまでです。

最初のC形タンク機関車は日本では非常に特異な構造をした機関車です。
大宮の鉄道博物館に保存されているので、有名な機関車かと思いますが、保存されている1292号「善光」は阪神間とは関係なく、1881年に日本鉄道最初の機関車として官鉄が輸入した機関車ですが、阪神間で使われた2両と「善光」は元々全く同じ図面で作られたものです。

阪神間の2両も、本来の工事用として購入したものは1両で、もう1両は、同年大阪の造幣寮用に購入されたものですが、舟運に切り替えられて不要になったので1875年に官鉄に譲られたというのが有力な説です。

この機関車の竣工写真はありませんが、1875年頃の写真があります。
これは、金田茂裕著「日本最初の機関車群」所載の写真です。
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キャブの屋根は4本の柱だけ、軒からカーテンのような布を下げて雨を避けるようです。
金田さんの見解では、21号から22号への変換期で、改番された1875年(明治8年)当時の写真とのことです。 機関車は全くの原形と思われます。
客車は「最古の客車」と呼ばれた(実際は最古ではない)関西の小型客車です。

この機関車は組立図があります。

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140年前の図面とは思えないほど綺麗な図面ですね。
見れば見るほど特異な機関車です。
日本最初のサドルタンク、異様に高い火室、内側シリンダ、とてもバランスが取れてるとは思えない動輪のバランスウェイト、フランジの無い第2動輪、動輪の真上にないバネ・・・・・

サドルタンクは、バグナルやポーター等のようなのと違って、ボイラーの上に乗っかっている形で、ボイラーからかなり高い位置にあります。
火室はちょっとわかりにくいですが、火室の上面がその高いサドルタンクの上辺の近くになっているので、ボイラーから大きく上方に出っ張っている形となっています。
内側シリンダなので、ロッドはサイドロッドだけで、バルブギヤーも見えず、蒸気機関車の魅力ともいえるロッドの動きがほとんど楽しめないものとなっています。
動輪のバランスウェイトはクランクと同じ形でウェイトとしては小さいですね。
板バネは通常動輪の真上に付くものですが、第1動輪はシリンダがあるので後ろへずらすしかないため、テコを介して軸箱に力を伝えています。同様に第3動輪も火室を避けるため同様の構造でずらしていますね。
図面をよく見ると、クロスヘッドの動きで動作するフィードポンプが装備されています。

「善光」以外は、明治中期にかなり改造されて、外観が変わっています。
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ちょっとわかりにくいですが、煙室戸は通常の機関車と同様の構造になっていますが、元は「善光」の形で、下から開くものです。

「善光」です。
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池袋教習所時代

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戦前の交通博物館
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ブレーキシューは木材のままですね。ドームの横から前にかけて目立つ配管はインジェクター配管です。その下のキャブから煙室への太い管は真空ブレーキエジェクターの排気管です。

そして現在。

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外に近く中は異常に暗いという最悪の光線状態に加え、何の意味かフェンスに囲まれ、キャブには透明度の悪いアクリルで囲まれて暗い照明のせいでキャブ内の撮影がまともにできない、しかも三脚禁止などと言う、全く三重苦四重苦という馬鹿げた展示で、
とても実物を研究できる状態とは思えない展示状態ですので、まともに紹介できる写真を撮れないのですが、無理に載せました。
鉄道博物館の展示方針は誰のための展示だろうと思えるものばかりで、展示方法に疑問を感じます。
機関車の下に入れるので内側シリンダーやジョイ式に改造されたバルブギヤーが見れるようになっていますが、このような展示は我々研究者にとってはありがたい展示ですが、一般人には関係のない展示、外観を横からまともに見れないようなフェンスを巡らせているのに床下のみちゃんと見れるとは、ものすごくおかしな展示と思わざるを得ません。
このようなちぐはぐな展示方法は、鉄道博物館全体に言える事だし、名古屋の博物館にも言える事。京都にできる博物館がこういう変な展示にならないことを祈るばかりです。

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コメント

 まいど
むかし、オールドデリーの駅で内側シリンダー機を見たことが有りますが、、シリンダーが外に見えない!!、まあ、、見た目に愛想が無く、写真を撮ったかも覚えがありません。
 しかし一度探してみよっと。

投稿: はた坊 | 2014年5月23日 (金) 14時36分

写真見つかったら見せてね!
愛想ないのはわかってるんやけど、いっぺん作ってみたい機関車やねぇ。

投稿: クラーケン | 2014年5月24日 (土) 01時31分

クラーケンさんの言われるように鉄博の展示方法は疑問ですね。
あそこは博物館というよりテーマパークみたいな感じですね。
百歩譲って柵は安全のため必要としても機関車の周りにいろいろ展示物置いてあるので死角が多すぎます。
京都は現在の機関庫内に並べてある展示方式を継続して欲しいです。

投稿: | 2014年5月25日 (日) 21時09分

名古屋の博物館を作った時は、「置く場所がない」というばかげた理由でそれまで佐久間等で保存していた車両をつぶすという暴挙をしてしまいました。初めからそれだけの場所を確保してから計画すべきです。
これで先進国と言うには恥ずかしい・・・
本当、京都に期待しています。

投稿: クラーケン | 2014年5月25日 (日) 22時51分

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