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2013年12月21日 (土)

一枚の図面から 7 川崎造船のクレーンロコ

クレーンが続いていますが、今回は一般受けするかな?

今回の一枚の図面は、クレーンが付いた機関車です。

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これは川崎造船がホーソーン・レスリーから輸入したクレーン付機関車の図面のようです、「ようです」とは変ですが、川崎造船が輸入した物と、佐世保海軍工廠向けにコピーした物かはっきりしないからです、ただ、この図面自体は。川鉄の図面の複写との事なので、川鉄の15,16号、川崎造船がホーソーン・レスリーから輸入した物だと考えたからで、平面図のブームの先端のフックの部分の補強が3点吊りに対応してるように見えます。

ブーム(ジブ)の収納位置では煙突にはまり込む感じになるため、煙突が扁平になっているのが面白いですね。

この写真は金田さんの「ホーソーン・レスリイの機関車」からのコピーですが、川崎製の佐世保海軍工廠向けの物です。

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そして川鉄のホーソーン・レスリーオリジナルの昭和4年の状態、オリジナルは3t、2t、1tの吊りがありますね。

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この機関車、クレーンは一般の物と違い、巻き上げがありません。品物を持ち上げるのはブームの上下だけです、そしてこの構造が面白くて・・・

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ボイラーは火室部分が上に大きく飛び出していわゆるTボイラーになっています。

その出っ張り部分にシリンダーが組み込まれていて、そのシリンダーがブームの支点につながっています。大昔のスティーブンスンのロコモーションのようですね。そして、この出っ張り部分が蒸気空間になっていて、ボイラー上部に蒸気空間が必要な一般の機関車より煙管が増やせて効率が上がるように思います。

この上部に大きな歯車がありますが、この歯車から上部全体が回転します。その回転の動力が前方にある小さな蒸気機関がそれで、これがクチュクチュ動くところが見てみたいですね。という事は、上下用のピストンはブームの回転と共に回転するわけですね。これはちょっと珍しいと思います。

この機関車はクレーン部を撤去された状態で戦後まで生き残りました。

これは臼井茂信氏により、「ビードル」と名付けられた物ですが、昭和24年に金田さんが撮られた貴重な写真です。

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煙突は丸くなっていますが、ボイラーはそのままですね。小さなドームが付いているので、Tボイラー上部から蒸気を取らずにこのドームから取っているようにも見えますが、それでは煙管と火室上部を下げなければならないので、内部は改造されているのか、それとも単なる砂箱なのか・・・。

その後、1962年に中西進一郎氏が撮られた物です。

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上周りはすっかり作り変えられ、下周りのみが元のままですが普通の機関車の様になってしまいました。金田さんの時なら面白い機関車だと思って撮るのは十分に考えられますが、中西さんの時代に、一見普通に見えるこの機関車を撮られたのは素晴らしい感性だと思います。

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コメント

Portefeuille économique des machines, de l'outillage et du matériel(1879年)掲載の図面です。
http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k56584562/f10.image

ブーム上下の構造の図面がそっくりというか、元は同じかもしれませんね。ロコがインダイレクト・ドライブも面白いところです。

投稿: railtruck | 2013年12月21日 (土) 05時12分

追記です。右下のクレーンはリターン・ボイラーのようですね。Fig.9の縦型エンジンらしきものは旋回と走行用でしょうか?

クレーンの解説が↓のページ左下から次ページにかけてあるのですが、グリコのマークです。(汗)
http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k56582586/f9.image

投稿: railtruck | 2013年12月21日 (土) 12時06分

railtruck様
いつもありがとうございます。
上の構造説明図はこの本が原典のようですね。

右下のクレーン!!
めちゃめちゃ面白いですねぇ。
台車の上でボイラーごと回転するんですねぇ、
Fig.9と他の図面を見ると、このシリンダーでの回転は下の旋回用ギヤーを駆動して、走行する場合は、旋回用の大きいほうのギヤーをした台枠に固定だったのをフリーにして旋回用のギヤーから前方の走行用ギヤーを回転させるという事でしょうか、本当に面白い。
まぁ、フランス語は一言も分からないので、あてずっぽうですが・・・
リターンボイラーといい、この駆動機構といい、思いっきりくすぐられますねぇ。

投稿: クラーケン | 2013年12月21日 (土) 12時40分

擬似直線運動ですね。リンク二つでほとんど問題ない程度に近似ができるのでしょう。ピストンロッドは細く、多少は撓むことを期待しているのかもしれません。
配管がよくわからないのですが、これは蒸気駆動ではないはずです。もし気体を出し入れすると、ブームの動作が異常な速さになります。また、負荷が掛かると縮んで、負荷がなくなると飛び跳ねます。ということは熱水が出入りするはずなのです。ボイラの中にあるのはシリンダを保温している意味もあるはずです。
ブームの上下で、熱水がドレインから出るのでしょうか。捨てずに水タンクに回収するのかもしれませんが、作動させると水タンクが熱くなりそうです。
フランスの本の図面ではシリンダの中身が水のように見えますが、この記事の図面では空のように見えます。
さてどうなっているのでしょうか。

投稿: dda40x | 2013年12月21日 (土) 23時21分

dda40x様
ピストン軸は恐らく鍛鋼材だと思うので、たわみはあまり考えたくないです、上部のグランドパッキンも苦しくなるので、恐らく上部の支点が前後にずれる構造ではないかと思っております。
川崎製および川鉄の物はピストン上部のリンクが無いので、ピストン棒の剛性で前後左右の動きを抑制してるのだと思います。
このシリンダー、金田さんの著書では、上下とも蒸気と書かれていますが、私の考えは違います。
上部は水(湯)、下部は蒸気で、上部はボイラーの下の方からパイプか何かでいつも通じていて常に水が入る状態です。
説明図左側の切換弁で、シリンダ下部にボイラー最上部からの蒸気を送り込んだり、排気したりするようです。
蒸気を一杯送り込むと上部の水と圧力が均等になり、切換弁の蒸気管はボイラーと「通」になっているので、ピストンはフリーとなり、ブームの自重でブームが下がります。
切換弁を排気側にすると、シリンダ下部の圧力が下がり、上から水が押さえる形で強い力でピストンが下がります。
私はこういう機構だと思うんですがいかがでしょう。

投稿: クラーケン | 2013年12月22日 (日) 03時07分

上部に水があるというのは私も同じ考えです。昨日保温と書いたのもそこに関係があります。シリンダの上部は露出していてボイラ内部より多少温度が低くなりますので、蒸気が入れば凝縮し、自然に水が一杯になります。この種の機構は水面低下警報装置によくある工夫です。
しかし、水が入っていてもブームに負荷が掛かった時に踏ん張れるかというと、そうでもありません。ボイラの蒸気が入るのですから、水が出るのも簡単です。ここに何らかの締切弁が必要なのです。クレーンの負荷は一方向なので、水は上だけで良いのですね。
シリンダの下側は、罐水と同温なので液体の水はできません。排気する瞬間には断熱膨張で水ができる可能性がありますが、ドレーンが一番下にありますので、すぐ排出されます。
もう少し詳しい図面が見たいものです。

投稿: dda40x | 2013年12月22日 (日) 11時50分

dda40x様
私の考えでは、コメントにあるように、シリンダ上部の水(湯)はボイラー下部から取っていますので、蒸気ではなく常に水のみが入っていて、ボイラーの蒸気圧力でピストンをいつも下に押さえています。それに対する抗力として、ピストン下部からボイラー上部の蒸気を注入し、完全に入りきるとピストンの上下の圧力はボイラ内圧力と同じになるので、ピストンの上下の圧力差が無くなり、ブームの重量でピストンは自然に上がります。これが品物を降ろした状態で、シリンダ下部の蒸気を抜けば、上からの水圧(実際にはボイラー圧)によってピストンが押さえつけられて品物を持ち上げる事が出来ます。ですからシリンダ上部に蒸気が入る事は無いと考えます。

投稿: クラーケン | 2013年12月22日 (日) 23時43分

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