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2013年11月24日 (日)

一枚の図面から 4 昔の工業規格

今回は、ちょっと趣を変えまして、材料関係の規格のお話。

「そんなもん知ってるワイ」とおっしゃる方は飛ばしてください。

私の蔵書に、昭和12年発行の「機械工学便覧」というのがありまして、こういう便覧は現在でも、工業関係に身を置く者は必携で、私も現代の物を使っています。

模型等の世界でも、実物を実測したり、寸法のない図面を測ったりするときに必要で、ボルトやリベットは、図面では軸の径が書かれているので、模型に必要な頭の寸法は資料を見ないと分かりません、空気管等も同様で、指示寸法が規格の違いで内径だったり外径だったり資料を見ないと正確な寸法が出てきません。

工業規格、鉄道関係では、国鉄は大正10年にフィートインチからメートル法に正式に切り替えたと記憶していますが、規格の多くは現代にいたるまでフィートインチをベースとした物が多く残っています。

戦前の工業規格は「日本標準規格」=「JES」と言い、メートル法採用と共に発布されたようです。ですから、私が持っている「機械工学便覧」はこれにのっとっているのですが、私の主たる興味は大正初期あるいは明治期に及ぶので、この規格ばかりでは埒があきません。

それ以前も「便覧」は有ったろうと思いますが、私が持っているのは、機関車の設計法等、個々の分野についての物ばかりで、全体を見渡した資料は持ち合わせていないのですが、古い車両等を調べるにはそういう標準的な物を調べる必要があります。

恐らく、各業種で独自の規格を作っていたかと思うのですが、いまいち分かりませんので、後の規格は従来の物を元にしていると考えています。

そこで、昭和12年の便覧なんですが、上にも記したように、現在のJISと寸法関係はさほど変わりません。それは過渡期の混乱を避けるため、従来の材料が混在しても支障が出ないようにと言う配慮だと思います、それは、フィートインチからメートル法に変わった時も同様で、現代のJISも、こと鉄鋼材料に関しては、未だにフィートインチがベースになっているんです。

ですから、後の規格表を見るのは、それ以前の規格を見るうえで役に立つと思います。

昭和12年発行の「機械工学便覧」から比較的重要と思われる材料関係とボルト類の寸法表を貼り付けます。先ずは鋼材から。

12_p578_3 

12_p579

12_p582

12_p580

ボルト類とリベット

12_p598

12_p604

上記の表の寸法は、フィートインチを採用している国々も近い寸法なので、英国や米国等の図面でも近い物が使われているようです。

各寸法を下記の様に近似のインチにすれば、日本の古い時代の寸法になります。

3>1/8"(3.18mm),4.5>3/16"(4.76mm),6>1/4"(6.35mm),

9~10>3/8"(9.53mm),12>1/2"(12.7),16>5/8"(15.88),

19~20>3/4"(19.05mm),22>7/8"(22.23mm),25>1"(25.4mm),

30~32>1-1/4"(31.75mm),38~40>1-1/2"(38.1mm),

45>1-3/4"(44.45mm),50>2"(50.8mm),63~65>2-1/2"(63.5mm),

75>3"(76.2mm),100>4"(101.6mm)と言うような感じです。

フィートインチの時代は、基本的に分数で、上記の様な並びになります、要するに分母が8の倍数になるという事です。

なお、鉄板等の規格の板厚は、現在1.2,1.6,2.3,3.2,4.5,6,9,12,16,19,25と言う感じで、やはりインチ寸法がベースとなっていて、各寸法の間の厚さの物も準標準として存在します、これも昔はインチに換算することが出来ます。

ネジやリベットは図面では軸の径を指し、上表のd寸法が図面指示の寸法に当たります。ですから、模型的には、ボルトは上表のB又はC寸法、リベットではD寸法が重要になりますね。フィートインチの時代は、やはり材料と同様で、近似の寸法となります。

なお、空気配管等は一般的に「ガス管」と言う物で、今の家庭用のガス管と同じものです。図面指示のサイズは、基本敵に内径で、模型等に使うには外径が必要なので、下記のような寸法になります。

12

管継手はねじ込みタイプが普通ですが、蒸気機関車ではフランジ継手も見られます。

蒸気管等に使う銅管は、基本的に図面寸法が外径で、継手はフランジ以外はガス管と見た目が違うので塗装をしていても見分けがつきますが、一部内径指示の物もあるようです。

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コメント

クラーケンさん、給水管などは呼び径(内径)なので、実際の呼び名より少し太めにする必要があるとH御大におききしました。
あと米国からの輸入機などはANSI(米国工業規格)なので少しJISとは寸法が違うということを聞いたのですが、どうなんでしょうか?
あと英国やドイツあたりもそれぞれの工業規格があるのでしょうか?
教えてください。

模型でも塗装するときのコンプレッサーのコネクターやバルブは、いまでもインチ規格ですね。

投稿: ゆうえん・こうじ | 2013年11月24日 (日) 15時28分

貴重な資料ですね。

配管は外径は同じで、Sch80で内径がその呼びサイズになるのでは?
25Aの外径34㎜と言うことは、現在も変わっていないと言うことなんですね。

配管は今でもインチが主導ですね。
特にねじ込みは・・・・・。

投稿: ひからび | 2013年11月24日 (日) 17時59分

ゆうえん様
ひからび様
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)はスケジュールは言いませんが、その他の鋼管やステンレス管等は肉厚がスケジュールで指示されますね、その場合は管押さえの関係か、外径は同じで内径が変わります。
本文でも書きましたが、現在も明治の頃の規格が生きているようです。今でもガス管などは1/2"Bとかと呼びますね。
日本の蒸気機関車の場合、空気管はガス管、蒸気管もガス管、水管は通常銅管のようですので、給水管も銅管と思いますので外径は寸法通りだと思いますよ、参考に、C57の火室横の太い給水管は外径60mmの銅管です。
アメリカは今でもISOに加入しておらず、管関係でもANSIやASTM等、ややこしい状態ですが、管に関しては細かな寸法の違いは有りますが、0.何mm程度の差ですので、実物は共通では使えませんが模型レベルでは無視できる差だと思います。
ただ、上記の中を流れる物に対する考え方は各国で違いが有ると思ったほうが良いようです。例えて言いますと、現代のアメリカの電車は空気管に銅管を使うことが多かったりします。

投稿: クラーケン | 2013年11月24日 (日) 19時31分

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